子どものコーチング【行動を終えた後は?第4回】

子どもの日常コーチング-3つの方法[全4回]

【もくじ】
・第1回.話を聞いた後は?>読む
・第2回.行動する途中は?>読む
・第3回.行動を終えた後は?1>読む
■第4回.行動を終えた後は?2


以前、子どもとこんなことがありました。
「試験ご苦労さん。
 2日大変だったね。
 疲れただろう。」
試験後に中学2年生の男子M君を僕が労ったのです。
すると意外な応えが。
「先生、僕は頑張っていないよ。」
「え?がんばっていない。」
「そう、だから期待しないほうがいいよ。」
パラパラとテキストをめくりながら言うのです。
僕は正直に言いました。
「でもそれでも試験は受けたのだろう?」
「まぁ。だって試験だからね。」
「だったら、やっぱりお疲れ様だよ。
 試験を2日ともちゃんと真剣に受けんだろ。」
「うん、まぁ、そうだけれど。」
「だったらもっとお疲れさんだ。無事に終わってよかったよ。」
それはそれで終わったのです。何事もなく。
でもそれから大変なことになりました。
■激変!猛勉強のわけは?
するとこのM君、急に勉強をし始めました。
はじめ僕も目が点でした。
だって試験が終わった後に勉強を始めるのです。
なんでするの?と思いました。
なぜなら今さら勉強しても試験の成績は上がらないのです。
それでも彼は勉強に取り組み始めたのです。
このとき僕は、僕のその労いに腹を立てて勉強したのかな、と思いました。
気分を害したことを僕は少し反省したのです。
しかし次の試験の前に彼から言われました。
「先生がさ、前の試験後にいってくれたじゃん。
 あれからなんか急にやる気になったよ。」
僕はジーンときましたね。
そして思ったのです。
小さな事実を認めてもらったことが、ただ嬉しかったのかって。
(ちなみにこの子は、その次の期末テストで素晴らしい成績を取りました。)
■小さなことも労う
いかがでしょう?
本当に小さな言葉のやりとりですが、
その労いの効果を少し実感していただけたでしょうか。
労いはなかなかハードルが高い言葉だというのは分かります。
でも思い出してください。
あなただって嫌々ながら試験日を向かえ、
散々な成績をとったことはあるはずです。
自分は何もしなかった。
誰も誉めてくれはしない。
という鬱々とした心の中で、
「それでも前に進んだね。お疲れ様。」
そんな風に自分が頑張った欠片を伝えてくれる人がいたら、
やっぱり嬉しいと思うのです。
そして心の中に小さな泉ができるのです。
もしかしたら、小さな泉はすぐに水が枯れるかもしれません。
でも、少しばかり喉を潤すことはできます。
それだけでいいのです。
その潤す心の体験が子どもに必要なのです。
もし試験勉強をせずに試験を終えて、
肩を落として帰ってきた息子がいたら、
「なに、暗い顔しているの!
 試験中やれるだけのことはやったんでしょ?
 今さら何ウジウジしても仕方ないんだから、
 早く友達に電話をして遊んできなさい。」
こういった言葉でもいいのです。立派な労いです。
暖かく声をかけることがすべてなのです。
■最後に
誉めるとは違った子どもとのかかわりを説明しました。
「納得」
「期待」
「労い」
どれも特別難しいことではなく、僕たちの日常にある普通の行いです。
ただそれを邪魔する親たちの心情があるのもよく分かります。
実はそれが親が行うコーチングをする上で、
もっともネックになるのです。
最後にもう一度思い出してください。
私たちが変わることで、子どもが変わることはよくある。
子どもたちを変えようと思う気持ちを、ひとまず捨ててみましょう。
そしてわたしが変わるんだ、という気持ちをこれから…
いや、1週間だけ取り組んでみましょう。
あなたの周りに少し変化が起こるはずです。
それはまた小さい変化の欠片ですが、
それがドンドンと大きな断片になり、
気がつけば想像もしなかった大きな変化のうねりになります。
それを信じてください。
あなたなら、きっとできるはずです。
(ご精読、ありがとうございました。)


子どもの日常コーチング-3つの方法[全4回]

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・第2回.行動する途中は?>読む
・第3回.行動を終えた後は?1>読む
■第4回.行動を終えた後は?2