「小学3年生の算数」の教え方の例

本ページは、算数が不得意な小学3年生への教え方をQ&Aで解説しています。

※タイトル・指導時間数・ページ・学習指導要領の指導項目については、東京書籍の「年間指導計画 略案(3年)」を参照してます。

1.九九を見なおそう

かけ算の性質を学びます。
想定される学校の授業時数:約10時間/教科書6~21ページ/A(3) D(2)

Q.大きな数(九九では求められない数)を求められる理屈が分からない。

しきりをつくって考えてみます

9こまで並んでいるものなら、九九を使って解けます。このような10以上のもの並びは、「しきり」を入れて9より小さい並びにすると説明します。以下の要な手順です。

【しきりをつかって、10以上のものの並びを九九でもとめる方法】

11こと4この並びを求める_手順1
1)ならびに「しきり」をいれます。
11こと4この並びを求める_手順2
2)しきりの左右に並ぶマルを数えます
11こと4この並びを求める_手順3
、 3)しきりの左右のならびをかけ算で求めます。

Q.「0×3」や「5×0」などの0のかけ算が分からない。

かけ算のイメージにもどります


九九を学んだ後、かけ算の概念が曖昧になります。もう一度、かけ算はどこの数をもとめるものなのか?図をもとにしてふりかえります。

2×3の答6は全体の量を表します。0×3の答も同じことです。まんじゅうが1皿に0こある。これを3皿用意したときの全体の量を図をみて考えます。

2.時こくと時間のもとめ方

時刻と時間の関係や秒について学びます。
想定される学校の授業時数:約4時間/教科書22~27ページ/B(3)
【学習する知識】秒

Q.100秒を何分何秒に置きかえられない

その子にあった解決方法を練習します

通常、△秒を◯分◯秒に置きかえる際は「わり算」を使います。しかしこの時期の子どもたちは、まだわり算を習っていません。それに替わる方法は2つあります。

①100秒から60秒とで分けて考える


量の感覚として1分=60秒がわかり、100秒から60秒をとれると認識できる子の方法です。60秒は1分になります。よって1分40秒と分かります。

②時間の定規で考える


計算が不得意であったり、1分=60秒の量の感覚が身についていない子は、時間定規を使うといいでしょう。

4年生以降でわり算でもとめる方法を学び直します。

Q.午後210分の30分前の時刻は?といった時計文字盤の12をまたぐ時刻の計算ができない。

「12」境界線ルールを身につけるよう練習します

長針と短針が文字盤の12を跨ぐと、分を表す長針・時間を表す短針どちらにも繰り上り(繰り下がり)がおこります。それが子どもにとってややこしいです。算数が不得意な子は、時計盤を使って手順を踏まえて取組みます。

  1. 2時10分をさす長針を30分もどす。40分をさす。
  2. 長針が12の文字盤を後ろにまたいだので、時間が1減る。1時になる。
  3. 1時40分とわかる。

3.長さをはかろう

大きな長さの測り方と単位を学びます。
想定される学校の授業時数:約6時間/教科書28~36ページ/B(1)(2)
【学習する知識】㎞

Q.1kmの長さが感覚的にわからない

地図やGoogleマップをつかい実感します


メートルは、長さをすぐ実感できますが、キロは長すぎて実感するには困難です。身近な距離感覚としてつかむために、Googleマップを使って自宅からどこまでの距離かを示します。

その上で「1kmの中にメートルは千個あるよ」と話すと、その長さの規模がつかめます。

Q.距離と道のりの違いがつかめない

道のりから先にしっかり学習します

まず、身近に感じやすい道のりから学んでもらいます。そして道のりの計算まで、出来るようになってもらいます。その後に「まっすぐ進む長さ」を距離と学習します。道のりはイメージしやすいもの、距離はイメージしにくいものとして捉えます。その違いで子どもは認識できるようになります。

4.新しい計算を考えよう

基礎的なわり算を学びます。
想定される学校の授業時数:約10時間/教科書38~50ページ/A(4) D(1)(2)
【学習する知識】÷

Q.算数の文章題で正解の式12÷3なのにを3÷12としてしまう。

「わけられるもの→わける人」形を示します

“3人に12個のあめ玉をひとしくわけるとき、1人分のあめ玉はいくつですか?”といった問題文の数の登場順が3→12となっているので3÷12としてしまいがちです。イメージで整理する段階で「12個のものを3人に分ける」と捉えて図で表します。等分除

わけられる数→わける数の形を元にわり算の式をたてます。

Q.何人にわけることができますか?の問題がわり算だとわからない。

わり算タイプ(2種類)を図で判断させます

わり算を使う状況は2つあります。その状況を図をみて判断できることが大切です。「何人に分けることができますか?」は包含除

何人に分けられるか分からない→子どもたちは貰えるかどうかドキドキしている

「1人何個もらえますか」は等分除

みんなに等しく分ける→子どもたちは、いくつ貰えるかワクワクしている。

Q.0÷3=3、あるいは1としてしまう。

わり算のイメージに戻ります

他の計算の知識(0+3=3、3÷3=1など)から判断していると思われます。四則のイメージ理解が不安定と思われます。まず、わり算イメージで0÷3の状況を図で表します。

身近な例として「0個のクッキーを焼いたのだけれど、3人でわけると1人何個貰えるかな?」と話して図で考えてもらいます。すると1人が貰えるのは0個と分かるでしょう。これを式で表すと0÷3=0となります。

Q.3÷0の「答はない」という意味がよく分からない。

わり算のイメージで考えます

3÷0のわり算をイメージに置き替えます。
「3個のクッキーを0人の子どもたちに配るとき1人何個ですか?」
しかし人がいないのに1人何個という話はおかしいです。つまりわり算として成立しないので「答はない」となります。

5.大きな数の計算を考えよう

3桁4桁のたし算ひき算を筆算で学びます。
想定される学校の授業時数:約9時間/教科書52~61ページ/A(2)

●3位数と2~3位数の加法計算
・和が3位数,4位数の場合
●3位数から1~3位数をひく減法計算
・波及的に繰り下がる場合
●4位数と2~4位数の加減計算(一万の位への繰り上がりなし)

Q.計算ミスが多い。

適切な計算フォローを行ないます

計算ミスには「運動機能の問題」「ワーキングメモリの問題」「空間認知の問題」など複数の要素が関わっています。以下のような工夫があります。

  • 声に出して解く
  • 大きなマス目で解く
  • 手続きに関係ないところを隠す
  • 青色鉛筆(消しゴムで消えるもの)で解く

必要に応じ選択して行ないます。

Q.205+398などの繰り上りの計算ができない。

繰上げ動作をひとつひとつ丁寧に扱います。

一の位で繰り上がった1が、十の位でさらに繰り上がる和で繰り上るちょっと複雑なパターンです。その動作を確実にひとつひとつ進めていきます。

和2段繰り上り_手順1
1)一の位「5+8」の答は13。繰り上りの10は十の位に小さく「1」と記入します。

 

和2段繰り上り_手順2
2)十の位「0+9」の答は9。これに繰り上がった1をたして10。さらに繰り上った10は百の位に小さく「1」と記入します。

 

和2段繰り上り_手順3
3)十の位に繰り上がった1を消します(赤色部分)。

 

和2段繰り上り_手順4
4)百の位「2+3」の答は5。これに繰り上がった1をたして6。百の位に繰り上がった1は消します。これでおわり。

Q.302−135などの繰り下がりの計算ができない。

適切な計算フォローを行ないます

これは2段繰り下がり(繰り下げられる位が0なのでさらに上の位から数を繰り下げる)という複雑なパターンです。以下のように扱います。

2段繰り下がり_手順1
1)一の位の「2-4」はできないので、十の位から10もらう。しかし十の位は0。そこで、まず十の位が百の位から10をもらう。
「3を消して」と言いながら消し…
2段繰り下がり_手順2
2)「1小さく」と言いながら2を書き…
2段繰り下がり_手順3
3)十の位に1を加えて「10」にする。
2段繰り下がり_手順4
4)さらに十の位の10を消して…
2段繰り下がり_手順5
5)「1減らして」と言いながら9を書き…
2段繰り下がり_手順6
6)一の位の2に「1」を加えて12にする。これで一の位はひき算ができる。
2段繰り下がり_手順7
7)最後にひき算を行なう。

必要に応じて行います。

★考える力をのばそう

図をつかい重なりのある2つの長さの和を求めます。
想定される学校の授業時数:約1時間/教科書62~63ページ/A(2) D(2)

6.計算のしかたをくふうしよう

ひく数をくふうした計算を学びます。
想定される学校の授業時数:約3時間/教科書64~66ページ/A(2)

Q.計算の工夫が思いつきません

そんな計算のやり方もある、に留めます

この計算の工夫の単元は、算数が苦手な子にとって難しいところです。工夫できることは分かったけど、思いつかないからです。そういう子には、無理に工夫はさせません。できる範囲でやるのが工夫だからです。

★かたちであそぼう

タングラムを用いた平面図形の操作活動です
想定される学校の授業時数:約1時間/教科書67ページ/C(1)

7.わり算を考えよう

あまりのあるわり算を学びます。
想定される学校の授業時数:約10時間/教科書68~78ページ/A(4) D(1)(2)

Q.60÷3などの式の計算で一の位の0を抜いてしまう。

一の位も必ずわる、と促します

「わり算のゴールは一の位をわるところまで※1」と前提を確認します。一の位は0だから0÷3=0。だから一の位は0がたつと分かると思います。2桁(一の位が0)÷1桁
※1)割り切りがある小数のわり算においては当てはまりません。

Q.あまりを求めるひき算で躓く

わられる数の下にひき算の筆算を書きます

このわり算の段階では「わり算の筆算」を使わないため、余りを求めることが難しく感じる子がいます。そこで以下のような方法で余りを求めます。

わり算の余りを求める_手順1
1)わる数7の九九を言い、わられる数の45より小さい答を探す。7×6=42なので、6を=横に書き、42をわられる数の下に書く
わり算の余りを求める_手順2
2)ここで「45ー42」のひき算の筆算で余りを求める。6の横に「あまり3」と書く。

このやり方は、わり算の筆算の予習にもなります。あまりで躓いていない子も使っていいです。

8.10000より大きい数を調べよう

万から億までの数を学びます。
想定される学校の授業時数:約10時間/教科書80~92ページ/A(1) D(2)
【学習する知識】一万の位,数直線,億,等号,不等号

Q.11890059といった大きな数を読み上げることができない。

4桁おきに区切ってよみます

万進法の数の読み上げは多くの子どもが混乱します。数の見え方を工夫します。

大きな桁の数字から漢数字へ_手順2
右から4ー5桁の間に仕切りをいれて、しきり左下に「万」と書く。

それでも難しく感じる子には下のように色をつけると読みやすいです。漢数字で書く問題も対応できます。

大きな桁の数字から漢数字へ_手順3
4桁ずつ読みその音を漢数字で書く。難しい子には色で下線をひくと分かりやすい。

ゆっくり手順をふまえて練習する事が大切です。

Q.二百十二万三千六百五といった万を含んだ漢数字表記から数表記に変えることができない。

漢数字を数表記に変えるにあたって整理が必要です。以下のように行なうといいでしょう。書いた数を読み上げて、漢数字のとおりかチェックして終わりです。

Q.大きな数の数直線が読めない

0部分に色を加えます

0の数が多くなると、数直線の変化が捉えにくくなります。そこで変化していない0の部分に色を塗ります。

そして色が塗られていない箇所に注目してもらいます。すると違いが見えてきます。

Q.1200009000の大きさの違いが分からない。

数を縦にそろえる、または、4桁ごとに線を入れます。

桁の0が多くなると数の大きさがつかみにくいです。一の位を揃えて縦に並べると、桁の違いが分かりやすくなります。

大きな数くらべ_1
2つの数を右揃えで上下に並べて比べる方法です。ゼロの数が合っているか指さし確認を促します。
大きな数くらべ_2
それぞれ4桁おきに仕切りを入れて桁や数の大小をみていく方法です。仕切りには別の色を使います。

9.かけ算のしかたを考えよう

2桁×1桁の筆算を学びます。
想定される学校の授業時数:約15時間/教科書94~111ページ/A(3) D(2)

Q.筆算の手順を間違える

適切なフォローをしましょう

筆算手順の間違いはよくあります。「運動フォロー」と「視覚フォロー」の両面から援助します。

運動フォロー

  • お子さんの横で一緒に解く
  • 手を添えて一緒に解く
  • 大きい紙で解く
  • 特別なレイアウトの計算用紙で解く

視覚フォロー

  • 手順を番号で示す
  • 手順を→で示す
  • 青色鉛筆(消せるもの)に変える

Q.倍の文章題で線分図がかけない

お子さんの状況に対応します

まず、線分図で解決できるか?ここを大切にしています。線分図で判断することが難しい場合、別の方策を考えます。

言語から量関係が想起できない場合
文章の「△は◯の3倍」の部分を3つの側面(運動・視覚・聴覚)で示して感覚で理解できるように促します。

線分図を描くスペースの問題の場合
本人にあった方眼枠を用意してそこに書いてもらいます。

Q.倍の文章題で、わり算・かけ算の判断が見抜けない

まず「かけ算」をつくります

算数が不得意な子は3用法を用いる文章題で困難が生じます。まず文章をよんでかけ算の関係の式をつくります。その後、必要であれば逆算でわり算の式を立てます。その手続きに沿うように促します。

★考える力をのばそう

かけ算の筆算をひろげる
想定される学校の授業時数:約1時間/教科書27ページ/