みかん流!子どもコーチングの極意[全6回]もくじ
心のパイプをつなぎましょう
今回紹介するのは、子どもと大人の心をつなぐアプローチ、「承認アプローチ」です。
子どもをコーチングする際、大切なのは“子どもの心”を開くこと。子どもたちはみな伝えたい要求があります。それを十分に引き出せる状態を作り、コーチングの土台を作りあげます。そのアプローチがこれはコーチング定番「承認アプローチ」です。
プロのカウンセラーはもちろん、コーチングアドバイザーたちも、まずこのアプローチを頼ります。この技術なくしてコーチングはできません。
まぁ難しそうに見えますが、これはあなたも普段からやっていることです。
井戸端会議でいい
よくご近所の方や職場の方とおしゃべりをしませんか?うんうん、そうそう、と相手の悩みを頷きながらきくことありますよね。「承認アプローチ」はあのやりとりです。ただの井戸端会議ではないか?
じゃこの際、「子どもへの承認アプローチ」なんてキザな言い方やめて「子どもと井戸端会議」にしましょう。井戸端会議の方がずっとイメージしやすいですから。
それでは早速、みなさんは井戸端会議にてどのような会話を繰り広げているか振り返ってみましょう。
会話を繰り返す
さて、井戸端会議の基本はなんですか?井戸端会議が大好きな方々は本音を暴露してもらえたら、こう答えるでしょう。
これは相手を尊重することかな。余計なことも言ってはいけませんよ。
ご近所がどう噂をするか分からないですからね!ほら、口は災いの元といいますし。
でも会話はしなければならないし…ようするに自分のことはあまり言わずに、相手の会話をダラダラと続けていく感じですかね。
ここに承認アプローチのエッセンスが濃縮されています。そうされている方は既に承認アプローチをマスターしています。これを子どもとの会話に移し替えてみます。子どもからこんな会話をふってきました。
「先生に叱られたんだ」
子どもがこの言葉を発したときに、考えられる応答はいくつかありますが、ここは井戸端会議。あなたはどのように返しますか?
「あら、何があったの?」
ですよね。これは順当です。まさかここで「何か悪いことをしたんじゃないでしょうねぇ!」とは言いません。だってこれは井戸端会議。そんなこと言ったら近所の奥様に嫌な顔されます。子どもとの井戸端会議とて、同じです。
あなたのコーチングは?
では続けていきます。どうもテストの結果で先生から苦言を頂いたそうです。
「先生がね。お前は努力が足りないって。」
さて、ここでなんと言いますか?選択肢を選んでください。ヒントは一番、無難に会話が続くものです。
- A.「そんなことないわ。あなたは必死にやっているよ」
- B.「なんて失礼!本当にそういったの?」
- C.「確かにそうかもね。でも次、頑張ろうね」
- D.「そうなのぉ」
どれも当てはまりそうな会話ですよね。よく見てみると
Aは、先生の言葉を否定しています。
Bは、怒っています。
Cは、励ましています。
Dは、聞いています。
このなかで井戸端会議で一番いい会話。どれでも良さそうですが、井戸端会議の基本をもう一度振り返ってください。無難に会話が続くものを選びます。正解をいいましょう。
D.「そうなのぉ」です。
意外だったかもしれません。この中で一番、素っ気ない。しかしこれが一番いいのです。
井戸端会議に意見はいれない
AからCの答え方には大きな問題があります。それは承認アプローチにあってはならないこと。
「答える側の考えが入っている」
これが不要なのです。せっかく話しかけているのだから『それに応えてたい!』と思うかもしれません。しかしこのとき相手は答えを求めているわけではないのです。
先生に言われたことは事実。子どもはその心のモヤモヤをただ受け止めてほしいのです。考えても見てください。
A.「そんなことないよ。あなたは必死にやっているわ」
B.「失礼なことを言うのね!本当にそういったの」
C.「努力は足りなかったかもね。でも次頑張ろうね」
この3つの会話に続く相手の言葉はどのようなものでしょうか。ここでこのように返されると、会話はブツンと切れてしまいませんか。たとえこれから続いても、流れるような会話にはなりません。
唯一D.「そうなのぉ。」は違います。相手の続く言葉を待っている様子がうかがえます。さらに、短い言葉なのでモヤモヤしている相手の次の言葉を引き出しやすいのです。このように子どもの言葉を繰返すことが、子どもへ安心を与え深く入ることができるのです。
続きは次回
とても長いテキストになっています。一度ここで「心のパイプをつなぐ井戸端会議」は終了し、次回に具体的な井戸端会議のテクニック2つをご紹介します。
みかん流!子どもコーチングの極意[全6回]もくじ