みかん流!子どもコーチングの極意[全6回]もくじ
「世の中がどれほど短所好きなのか?」を説明し、そして簡単にできる誉めるトレーニング(褒めトレ)をご紹介させていただきました。今回は実際に褒めるときの注意点をお伝えします。
■褒め上手ほど褒めない。
褒め上手な人はなかなか褒めないものです。それが悔しいぐらい褒めない。褒めてほしいのに褒めない。そしてもう心が折れかけているときに、
「ここの部分は前よりいいね。」
とちょっと褒める。そうなると、人間って不思議。
「たったこれだけかよ!」とは思わず、もっと褒められたい!と躍起になってもっと頑張るものです。こういう人に引っかかると最後です…もっと褒められたい中毒になってしまいます。まるで罠です。
ただ、そういった褒め上手の人たちは、ちゃんとツボを押さえています。
通称、褒めツボ。それは堪えて褒めるのがいいのか、次々に褒めていくのがいいのか、ちゃんと分かっているんですね。褒めるスタイルというのを状況に合わせているものです。今回、その褒め上手がもっているツボを紹介します。
■褒めの達人は、真実しか褒めない。
褒めるのが下手な人は、ただ「すごい!」「天才だ!」と言います。それを連発して気分を良くしよう!とするのです。でもそれって本当にそう思っているのでしょうか?
算数や数学が苦手な子がいて、その子が5問中5問正解したとします。
それをみて「君は天才じゃないか!」と言っても、それは嘘に感じるものです。天才だったら勉強なんかしません。天才であることはテストが証明してくれる、とどこかで冷めた目で見ているのです。
では、褒め上手はどうすると思いますか?
褒め上手は、実際に褒めるべきところあっても、じっとそれを選んでいます。褒めるべきツボはたくさんあるのです。そこにある真実と受け取られやすい褒めツボを見つける。ここなんですね。
人には褒めるべきところはたくさんあるのです。もちろんそれを片っ端から褒めてもいいのです。しかし、達人級になると褒め箇所をちゃんと見極めるのです。それがその人にとってもっとも重要な部分であるからです。
■だから、必ず具体的に褒める。
褒めることが下手な人は、常に一定の賞賛の言葉なのです。でもそういったものは子どもにとって真実には映りません。
どうせ誰にでも言っているんでしょ!と思って、子どもは嬉しないのです。時と場合によっては雑に扱われているとおもい不愉快にも感じることあります。
褒め上手は真実を見ていると書きました。その褒めるべき真実を見ていれば、まず、言葉が変わってきます。例えば…あえて算数や数学ではなく作文を題材にします。子どもが書いた作文を見て、推敲をしてもらう。そしてまた見てみる。
褒め上手はどう褒めるか?
「この部分はとてもしっかり書けているね。
前よりも上手になっているよ。」
という風に褒めるのです。
それは賞賛ではなく、むしろ小さく褒める。それも具体的な箇所をです。
■褒め上手は、時間軸で褒める。
もう少し言えば、褒め上手は誰かと褒めることはしません。それはプライドを築くことができますが、危険だからです。相対的に褒めると相手が良かった時などは成長が下がったと見なされます。それではよくありません。
必ず時間軸で過去と今とを比べる。
そうすることで今も見ているし、過去もよく見ていること。そういった成長の軌跡をしっかりと分かっていること。これを示すことが大切です。
こちらの方が子どもにとってはきっと嬉しいはずです。
■褒め上手は、褒めに段階がある。
そしてこれも大切なことです。褒め上手は意識的に褒めのレベルを設けています。少なくても5段階ぐらいはあります。
たとえば字で褒めてみましょう。
レベル1「この字、難しいのに書けたね。」
レベル2「この字の跳ねはいいね。」
レベル3「この字、前よりも奇麗に納まっているね。」
レベル4「いやぁ〜ほんとこの字、いつみても上手だね。」
レベル5「こんな美しい字、一体どうやって書くの?」
という感じです。たった字1つとっても褒めるには段階が作れます。レベル5になると褒めるのではなく、尊敬の念を抱くほどになります。こういったときは褒めるを飛び越えて、お伺いをたてるレベルです。
■褒める原則。
このように褒める点について色々と書いてきました。
もちろん、褒めるときに注意すべきことはあるのです。ただ、そういった知識はあまり入れなくてもいいと思います。褒めるときに大切な原則は1つです。
ちゃんと成長を見ている証拠。
ただ、これだけです。
最初のお守りを使って子どもの成長をビリビリと感じることをお伝えしました。あのお守りがここでも大切です。ビリビリ感じれば、あなたの心から出てくる言葉は具体的な子どもの成長の証そのものになります。
決して褒めることを難しく考えてはいけません。素直な目で子どもを見ること。これが大切です。そして子どもの成長をあなた自身で見つけることが、褒める第一歩です。
そうするなかでお子さんにとって、最高のコーチングが出来ると思います。
(子どもコーチング-終)
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