相手の言葉をまねる『子どもコーチング-第4回』

みかん流!子どもコーチングの極意[全6回]もくじ


子どもコーチングの基本。子どもと心をつなぐために井戸端会議を続ける。
その3回目です。井戸端会議では2つのテクニックがあり、その1つ「得意な言葉を繰り返す」を説明しました。今回は、もう1つのテクニックを説明します。
■「  」の言葉を繰り返す。
今回、説明するテクニックを井戸端会議で使っている人がいたら、カウンセラーになることをお勧めしてください。
決して必ず身につけるべきテクニックではないのですが、あった方がより子どもとの会話が深くなります。そしてとても簡単なので、これは身につけていたら子どもとの絆は深くなると思います。
例えとして前回の会話シーンを使ってみます。
子どもがテストの結果で先生から苦言を頂いて、リビングであなたに話しかけます。
「先生がね。お前は努力が足りないって。」
さて、ここでどのように話すか。
井戸端会議テク1なら「そうなのぉ」でした。
これでも十分です。
しかしここで井戸端会議テク2を使うとこうなります。
■「努力が足りない。」
はぁ?相手の言葉をただ繰り返しただけじゃないか、と思うでしょう。そうです、相手の言葉をただ繰り返しただけです。これがテク2です。
承認アプローチ[2]

  相手の言葉を繰り返す。

少し違和感を感じる人がいるかもしれません。なんだか追い打ちをかけているようにも見えますね。でも言葉というのは気持ち1つでガラリと印象が変わります。
ちょっと想像してみてください。
この「努力が足りない。」というフレーズを“あなたの言葉をちゃんと受け止めているよ!”という意思を込めて表現してみてください。
するとどうですか?
きっと会話は十分に成り立つことが実感できるはずです。このように相手の言葉をそのままくりかえすことは、確かに相手の言葉を聞いている証であり相手も話しやすいのです。
■落とし穴がある。
今、井戸端会議のテクニックを2つご紹介しましたが、特に難しくはないと思います。それだったら、今日からでもさっそく使える!と思えたら僕も嬉しいです。是非、今日からでも井戸端会議をやってほしいものです。
ただ、ここで1つだけ気をつけてほしいこがあります。
これらの承認アプローチはあくまで子どもと親であるあなたとの絆を強めるものです。相手の言葉を受け止めるだけでそれは達成されます。
しかし慣れてくるともう一歩前に進みたくなり、相手の言葉を言い換えたり、こちらでまとめたりしてしまいます。これは絶対にしないでください。
それが相手の為を思って善意で行うものであっても、これによって会話の流れが悪くなる、場合によっては子どもは言いたいことを言わなくなる恐れがあります。
■子どもは誰と会話しているか?
なぜ、言わなるのか。それは井戸端会議をしているとき、子どもはあなたと話しながらも、自分の心の中を旅しているからです。
だからあなたはその心の旅の手伝いをしていることになります。
相手の言葉を繰り返すことによって、次の言葉を待つ。そして子どもは模索しながら言葉を1つ1つ出します。これがあなたが行う承認アプローチの醍醐味です。
ただです。もしその時、あなたが子どもの意見をまとめてしまったらどうなるでしょう?
すると子どもの意識は、自分の心ではなく相手の言葉に移ってしまうのです。自分の言いたいことが伝わっているのか?誤解を受けていないか?そういったところを確認し始めるのです。
こうなってしまうと、もう承認アプローチではありません。
ですからあくまで井戸端会議テク1と2を使い、子どもの言葉が引き出しやすい環境を保ってください。それがここでの唯一の目的です。
■あなたの気持ちが大切です。
たった1つの井戸端会議の中でテクニックを2つご紹介しました。
なんだかコーチングって会話を操作するんだ…というイメージを受けた方もいるかもしれません。でもそれは誤解です。
本当に大切なのは「子どもの成長を期待している気持ち」そのものです。
僕はこの承認アプローチを行う時、子どもたちがグングンと成長していく姿を想い描いて聞いています。
それなしに相手の言葉に耳を傾けるなんて芸当はできません。この相手の成長イメージがあるかどうかで、子どもたちの反応も随分と違います。道具は大切ですが、それ以上にハートが大切なのです。
井戸端会議がハートとハートが行き交う時間となってほしいものです。
(次回は「褒める」について書きます。)
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