配慮すべきは「計算スピード」ではなく「解決スピード」だということ。

タイムウォッチを片手に計算のスピードを測る。そうすることでお子さんの計算手続きのスピードは、いくらか早くなるでしょう。しかしその手続きのスピードに囚われるばかりに、解決のスピードが遅くなるとダメです。大切なのは計算スピードではなく、解決スピードです。

計算スピードは大事じゃない

計算スピードは遅いより早い方がいい。それはそうでしょう。しかしその計算スピードを早めることが、問題解決の時間短縮に効果があるかといえば、そうとは言い切れません。

計算のスピードが早くても、算数のテストが早く終わるわけでもありませんし,正解率が上がるわけでもない。試験などに限った話で言えば、その一定時間内で無駄なく時間をあてがうことこそ重要なのです。

そんなわけで、計算スピードというのは二の次で、まずは解決スピードをあげることに注目すべきでしょう。
この算数数学の解決スピードを上げるためには、このちょっと立ち止まってみる行為とか、セーフティーネットを張るといった行為がとても重要になってきます。

それはどのような行為なのか、2つほどご紹介します。

「計算の工夫」で解決する

1つ目は、計算の工夫を身につけるということ。
これは立ち止まる行為の代表格です。計算問題があったらそれは簡単にできないか?と考える癖をつける。
工夫を心がければ、計算の手続きの数は減り、計算スピード(=手続き反射のスピード)は上がらずとも、解決スピードは上がります。ミスも大幅に減るはずです。

計算の工夫のやり方は沢山ありますので、その全てを覚え使えるようになる必要はありません。基本的な計算の工夫のみ知って身につけておけばいいでしょう。

「美しい計算過程」で解決する

2つ目は、美しい計算過程の書き方を身につけること。
よく中学受験界の中で、基本的に答が出せれば正解という考え方が広がっています。それが「美しくなくていいい」という誤解を与えるきっかけになっています。それは間違いです。

算数数学の醍醐味はその計算過程にあります。
計算過程とは、算数数学のなかの文章そのもの。それを上手に美しく書けば、頭の中が整理され、計算ミスが減り、また計算ミスがあっても修正しやすいくなります。

ぼく自身は算数が苦手な子への指導のなかで、この計算過程をしっかり書くことに最大限の注意を払わせています。

まとめ

つい計算スピードに囚われがちですが、計算過程は簡略しつつ正しく記述することを念頭に入れなければなりません。長期的にみてそのような習慣を身につけた子の方が解決スピードが早く伸びていきます。うさぎよりカメという話です。