かけ算わり算を小学6年生の半数が理解できてない?

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タイトルに対する僕の回答は「もっと多くの子が理解できていないはず」です。
文部科学省の国立教育政策研究所が実施した全国学力テストの算数のかけ算・わり算が話題になりましたが、これは別に驚いたニュースではなく日本の小学校現場が抱える長年の課題なのです。


かけ算わり算を小学6年生の半数が理解できてない?
■大人だって分からないはず
かけ算やわり算なんてやり方さえ分かればいい、と思う大人もいるかもしれません。でも本当は大人だってかけ算やわり算をちゃんと習っていません。以下は読売新聞の記事です。

深刻な課題が見られたのは、小6の算数。小数が絡む「□×1・2」や「□÷1・3」など四つの計算式のうち、式の答えが「□」に入る数字より大きくなるものを選ぶ問題の正答率が45・3%など、類似した小数に関する問題の正答率がいずれも低く、最高でも55・7%だった。
 「5×1・2」のような単純な計算の正答率は高い傾向にあるという。
(読売新聞ネットニュースより抜粋)

この問題に対する答は実は簡単に出るんです。
それぞれの□に数を入れてみて、□より大きくなるものを選べばいいだけですから。試してみればいいだけです。そうやって答えを出した子がほとんどじゃないかと思います。
でもこの小数分数の理解を問う問題も「ではどうして□÷0.24は□より答が大きくなるのでしょうか。分かりやすく説明してください。」なんて問題になると、クラスでそれに答えられる子って2〜3名くらいでしょう。ほとんどが「計算したらそうなった」と答えるのが精一杯。そして大人だって…。
■指導方法の再検討と説明で大丈夫?
この算数の課題について同研究所はこのように指摘しています。

 同研究所では、「低学年で学んだはずの小数やそのかけ算、割り算の意味が理解できておらず、指導方法を再検討する必要がある」と指摘。全国学テの検証が学校での指導の見直しに役立てられていなかった面があるとして、全国の指導的立場の教員を集めて説明することを決めている。
(読売新聞ネットニュースより抜粋)

おそらく教員に説明するだけじゃダメだと思います。この問題を抜本的に解決するには、カリキュラムから見直す必要があります。現在の単元の細切れカリキュラムでは、そもそもかけ算とは、わり算とは、という主軸が子どもには見えません。
ときどき「整数のわり算は習ったけど、小数のわり算は習ってない(から出来ない)。」と子どもの声を聞きますが、こういった声が出てくることがわり算の主軸が見えていない証です。
(※もしわり算の本質軸と子どもたちが身につけていれば、小数でも分数でも自然に等分することに子どもの意識が向かうからです。)
■実践の中で生まれた最も有効な方法を
しかしカリキュラムの大改革は理想です。時間もかかりますし、そう簡単にできるものでもありません。
僕はもっとも現実的で有効な方法として、全国的に子ども達がスムーズに身につけられた現場の事例を取りあげて、さらに深く研究し、どんな先生でも教えやすい様に指導方法を整える。そしてその教え方でいいのか現場で実践して、改良を重ねる。これが一番じゃないかと思います。
地道でアナログな作業になりますが、子どもの声に寄り添うことが実はもっとも確実で早い。算数って子ども達に教え与えるものではなく、子ども達の思考のなかから生まれでてくるものですから。

道:先日、1人で川崎市立日本民家園へ行きました。なぜかこの道がいいなぁと思いましてパチリ。