2年生の空間把握力

小学2年生らは空間把握し2次元に転写できるのか?その空間把握力について気づいたことを書いてみました。

2年生に立体転写はできるか?

以前、立体転写という授業を小学校2年生らにしました。まず、簡単なブロックを見せて、その立体が描かれたプリントを見せるのです。

このプリントの立体図を横にあるグリッドに描いてみる。ルールというのはありません。とてもシンプルなワークです。

通常、立体の授業は模型を使うこともありますが、このような立体を描くという授業も必要だと思います。3次元を2次元で捉えなおすトレーニングという意味でも大切です。

ただ単純なワークは、子どもたちから嫌われるものです。単純なことを次々にやるのって飽きてしまうからです。でもこの立体転写は、子どもたちに大人気でした。

人気の秘密は「爽快感」

これは立体を描く、だけですが、この頃の子どもたちにはとても爽快のようです。自分の手からキレイな立体図が、浮かび上がってくる。これがとても嬉しいみたいです。

自分がすごい人になった気分なんですね。子どもたちはもっと難しいものを頂戴!とせがみます。そこでこの2年生の子たちに、次のような立体図のプリントを与えてみました。

立体を想像するプリント

これは下4マスに数字の数だけ立方体のブロックを置きます。そのブロック像を想像して描きなさい、というものなのです。

これって面白そうじゃありませんか?
立体をただ写すよりも。
子どもが夢中になること間違いない!と思いながらプリントを与えました。しかし…
「分からない…」
と子どもたちがいうのです。しかも・・・みんな。

えぇ!!!なぜ?
ほんのちょっとハードルを上げただけなのに。今までの調子で書けばいいのに。何度か説明しても、子どもたちはさっぱりでした。ここで分かりました。

この2年生の子たちは、立体の転写はできるが、立体を想像して2次元に書き表すことはできない。

そういうことになります。

立体想像図を高学年の子に

そこでこの問題を小学校5学年生の子に、やってもらいました。実はこの子、あまり算数は得意ではありません。
(先に出てきた2年生たちの中には勉強が得意な子もいます)

正直、ぼくはこの5年生にプリントは難しいかなぁ…と思いました。しかしこの5年生の子は、どんどんと書き上げていくのです。もちろん、消したり描いたりの作業はあるのですが、最終的にはちゃんとした図が浮かび上がってきます。

これはこの5年生以上の、中学生でもスラスラとできました。これをみて分かりました。

この2年生と5年生の間には
「空間把握」という発達段階の差がある。

4年生が空間把握の時期

結局、3年生、4年生といろいろ調べてみました。するとこの空間把握力のプリントが出来るようになるのは、早い子で3年生ぐらい、一般的に4年生ごろということが分かりました。ということは「空間を2次元に表現する」という概念形成の時期も、その頃ではないだろうか。

これがぼくの推測です。その前にいくら立体想像図をやったところで、あまり意味がないんですね。まだその受け皿がないのですから。生理的概念形成の時期を踏まえることは、とても重要だとお思います。

「割合・はやさ・おもさ・面積」

これらにも学ぶべき時期は確実に存在しています。それを見定めて授業で取り扱うことが、本当に実りある授業になるとぼくは思います。