一粒のお菓子。日曜日、親子の合戦。

子どもにお菓子を1つあげて、それで済むはずはないのですが。泣きじゃくった息子を見て、気づかされたことがありました。そんなツラツラ文章です。

「あれ、ちょうだい」

息子のナオがチョコのお菓子の袋を指差して言いました。日曜日の夕方、久しぶりに息子のナオと楽しくお風呂はいった後でした。ヨメさんは一生懸命ご飯を作っていて、3人の食卓はもうすぐでした。僕は駄目な親ですね。あなたは聞いて呆れるでしょう。

「1粒ね。もうすぐご飯だから。」

お菓子を1粒あげました。わかっているんです。こういうのってあげるべきではないんですよね。ただ何というか僕はちょっと息子に挑戦状を叩きつけたかったのです。1粒だけ食べて完了。そしてご飯を待てるか?

許しを請う

しかし僕の想いは大きく外れました。息子は1粒を握りながら「いや、あれ!あれ!」と何度も袋を指差しました。1粒ではない、というのです。

「駄目。1粒だけ。ご飯がもうすぐだから!」

今度は少し厳しく言いました。断固として僕は袋を食べることを許しませんでした。ワーンと泣き出しました。このときの親の気持ちは辛いものです。
袋は彼の手が届く範囲にあり、自ら手をのばして食べることも可能でした。そうにもかかわらず、僕に許しを請いました。

「絶対に、駄目!」

譲れない<食卓前>

相当お腹がすいていたのでしょう。とうとう、彼は泣き崩れながら袋に手を伸ばしました。それをみて僕はすぐに袋を取り上げ、もっと厳しく言いました。

「いいのは1粒だけ。袋は駄目!ご飯の前だから」

楽しい日曜日の食卓前。僕だってこんなお菓子1つで言い争いたくありません。でも譲れないのです。ここは譲れない。たとえ日本全国民が「袋ごと渡しなさい」と言っても、この袋は渡してはいけない。なぜなら、食卓前だから。

泣き崩れる

僕はお菓子を彼の手の届かないところに置き、キッチンで泣き喚く彼を放って、リビングで椅子にすわりました。恨みを買ったなと思いました。1粒がいけなかった…と反省しました。

息子は僕の前に泣き喚きながらやってきました。キッチンのお菓子の袋を取れ!と強引に手を引いていくのかなと思いました。僕も臨戦態勢にはいりました。しかしナオはそうではありませんでした。椅子に座る僕にもたれ掛かり、ただずっとワーンと大きな声で泣きました。そのとき初めてわかりました。

「要求受け入れてくれなかったことが、悲しくて泣いているんだ」

それでも僕はお菓子の袋は渡せないのです。絶対に。

1粒のお菓子

泣きじゃくった息子は疲れ果てて、夕ご飯も食べずにそのまま眠ってしまいました。手には一粒のお菓子を握りしめていて、それがぼくの胸にチクチク傷む。子育って難しいなと思う日曜日でした。