問題の状況判断する-みかん先生の数学コーチング

算数数学が苦手な子は、新しい問題に手も足も出ない。これは解いたことがないから分からないというのが言い分です。

「それじゃ、真っ白な気持ちで考えてみよう」と僕は言います。解き方より、状況判断のコーチングに力を入れ始めました。


問題を見た瞬間に、解いたことがあるか?ないか?苦手な子はまず過去の記憶を検索します。

そして全く見たこともない問題文なら、モチベーションは半分ほど低下します。解き方が記憶の中にないからです。

さらに2行ほど目を通して、ちょっとイメージがつかめなければ、その問題への判断は早いです。

<この問題は分からない。>

それは一瞬です。
まだ問題文が何を求めているかも知らぬまま、

その場に見切りをつけてしまうのです。

疑念がどこかにある。

どうして問題文を最後まで読まないままに、分からない問題とケリをつけるのか。

実際に1行、1行を読ませてみて、そこに書いていることを尋ねると、多くの子が間違いなく状況を説明できるのです。

ただその説明は堂々とではなくて、なんだか自分の説明を疑っている感じです。

「これであってますか?」

あっているもあっていないも、そこに書いていることをそのまま素直に読みとれば、
それでいいのです。

「それ以外の捉え方は、他にありそうですか?」
「いや、ありません。」
「じゃ、それでいいと思いますよ。」

そもそも問題文誰が読んでも誤解されないように作られているのですから、
誤解をするような問題文は問題文こそが悪いのです。

でも子どもたちにはそうではないのではないか?という疑念を抱きます。状況把握はちゃんと出来るのに。傍から見ていていると歯がゆいです。

経験が未経験の邪魔をする。

なんで読んで探ろうとしないのだろう?僕もこれまでその都度考えてきました。やっぱりそれは過去の経験なんですね。

まず、そこに当てはめて考える。それも流れそのまま当てはめる。この問題は、こうして、こうして、こう解く。

そんな流れにあまりに忠実すぎるため、流れが全くない未知の問題には太刀打ちができない。

これは古いブラウン管テレビの説明書を片手に、新しいデジタルテレビを理解しようとするようなものです。

そもそも構造が違う。古い経験で新しい問題を解くなんて当てはまらないのです。
だから状況を読みとりすらも疑ってしまうのでしょう。

では、こういった場合、どう指導すればいいのか?

僕もこれまでいろいろと実践してきました。最近そんな中で効果が出てきた僕のアプローチ。

それが、「前の問題は忘れていい。」というアドバイスです。

まず、子どもたちに検索をさせない。検索をするその時点で、問題のアプローチからずれるからです。

問題文を読んで、その時々で判断すればずっと簡単だからです。そうすると問題文を読むしか手がありませんから。

問題から判断すべきことをコーチング。

柳の下にドジョウがいたから、今回もドジョウはいるはずだ!ではずっと新しい問題は解けない。

そこでさらにアプローチを考えました。それは解き方ではなく問題状況を判断させること。

例えば関数の問題で、「座標をTと置き換えて解く問題はこう解きます!」ではなく「座標を文字で置き換えると、世界はどう変化するのか?」というのです。

子どもたちの行為そのものに焦点を当てる。つまりそうすることの意図を念頭におくようにさせたのです。

そうすることで、自分の1つの行動が数の世界と繋がるからです。実際にこのようなアプローチで、僕が解説する際もその数の世界の動きに焦点が絞られ、子どもたちの正解率も上がりました。

算数や数学の素直な視線を育むコーチングがこれからもっと必要だと感じています。