算数の文章題を解くのは簡単じゃありません。子どもたちは文章題を解くために算数に関する能力をフル活用します。
その能力のどこかに弱さがあると、解答への弊害があらわれます。学習サポートは能力の弱さをフォローすることです。文章題の主なフォローをお伝えします。
文章題を解くまでのプロセス
文章題には必ず文、問い、答があります。それらのプロセスを整理すると以下の通りです。
文章題を解くまでの行動プロセス
- 文章を読む
- 式をたてる
- 計算する
- 解答する
この行動プロセスはシンプルです。それに加えて「1文章を読む」から「2式をたてる」の間にこのようなプロセスがあります。
- 文章をイメージへ変換する
- イメージから問いをつかむ
- 問いを求める式を判断する
これらは頭の中で処理する目に見えない世界です。「文章題ができない」のほとんどは、この目に見えないプロセスで躓きます。具体的に1つ1つ見ていきます。
文章をイメージへ変換する
文章を読んでイメージするのは、内容を理解するということです。この内容理解は要注意です。
読んでもらい「分かった?」と質問すると「うん、分かった!」と回答する子がいます。このときの「分かった!」は『音として流れた日本語』はわかったの意味だったりします。
たとえば『弟は、兄より4つ多くのあめ玉をもっています』という文章を読んでもらいます。その後に「兄と弟はどちらがあめ玉を多く持っていますか?」と尋ねると「兄がもっている」と平然と回答したり…
こうなった訳は、ほとんど問題文で兄が弟より多くもつことが多いので、この子はこの文章もそうだと決めてかかっているのです。知っている日本語が流れたことはわかり、言葉からイメージを浮かべてないのです。
こんなとき「ちゃんと読もう」という声かけは、あまり効果がありません。その躓きに応じて段階的サポートします。
- 文章をよんで絵や図をかく[少しイメージがわく段階]
- 文章の状況を絵で示す[イメージが浮かばない段階]
なかなかうまく描けない子については、具体的に絵の描き方を教えてあげてます。予め文章でつかうイラストを提示すると考える手間が省けます。
イメージから問いをつかむ
問いをつかむプロセスは蔑ろにされがちです。状況は分かった…さて、ゴールはどこだ?という最も重要なプロセスですが。文章題を読んで、絵を眺めながら、躓きに応じて段階的にサポートします。
- 問いを読んで、問いをゆびで指す[段階1]
- 問いを聞いて、問いをゆびで指す指す[段階2]
- 問いにあたる箇所を選択肢で選ぶ[段階3]
その子の特性に応じて適切に対応します。
問いを求める式を判断する
さて、立式の直前です。イメージから分かる数量を掴み問いを求める式を立てます。簡単な問題では1つの式で一気に答を求められますが、難しい問題だと何十にも式を重ねていかなければなりません。
この式の判断が一番サポートの難しいところです。
イメージの中でたし算・ひき算・かけ算・わり算はどんな数を求められるものか正しく判断できる。かつ、目の前の問いに隠れている数量関係を正しくつかめる。文章題が全く解けない子はこのどちらかでつまずいてます。このつまずきは見えにくいです。これは段階的にサポートします。
- その計算は何を求めるものか確認する[段階1]
- 式の判断シートを見せて同じモデルを探す[段階2]
正しい対応を心がけて
ぼくの心がけをざっと説明しました。文章題は何度も解けばできる!という考え方もありますが、すると子どもは文章のキーワードから想定して解くようになり、こうなると分からない問題も出てきます。
文章題は学習ストレスもかかるので、指導には正しい時間と対応を心がけていくことが大切だと考えています。