5年生算数の「合同な図形」で図形が不得意な子が躓くのは、図形を表すローマ字記号と合同の中で対応する辺や角の存在です。それらを身につける指導の仕方をご紹介します。
合同の単元で身につけたいこと
この単元は「合同とはぴったり合う形のこと」という基礎的な概念をしっかり培うこと、これに注力をしぼって指導します。
5年生の合同の単元は、その後の中学生の数学「合同の証明」などに発展する単元ですが、今、全てを完璧に理解する必要はありません。
その合同を理解するための指導の中で「図形をローマ字で表現するところ」や「対応する辺や角を判断するところ」は躓きが見られやすい箇所です。そこを色を使ってフォローします。
合同である理由を明らかに
以下の方眼上に4つの三角形があります。この中から合同な三角形を探します。
一瞬で「アとエ」と分かるかもしれません。ただ、ここで大切なのは「それが正解かどうか」ではありません。「合同である理由」を明らかにすることが目的です。まずは、合同であるだろう図形(アとエ)に色を塗りましょう。
マスの数を書き込む
色を塗ると、ますます「合同である」と確信がもてます。
もし「あれ?合同じゃないかも…」と思うこともあるでしょう。その時は、色を消して選び直します。
ここで「アとエは合同だ」と確信を裏付けるために、マスの数を書き込みます。どちらの辺も5マス、4マスです。
ななめの辺は縦横を数える
ななめの辺の長さが等しいかどうか?これも判断するやり方は扱います。
ななめの辺の両端を移動する時の、縦横で移動するマスの数をカウントして、書き込みます。3つの辺が全て等しいので、アとエは合同だと考えていいでしょう。
対応する辺や角の判断の仕方
合同な三角形ABCと三角形DEFの対応する角と辺を判断したいと思います。
ここでサラッと「三角形ABC」とか「三角形DEF」とか書いていますが、英語のローマ字で躓き(弱気になり)考えようとすらしない子もいます。
ローマ字は置いといて、色鉛筆に持ちかえて対応する角を探していきます。
一番短い辺の小さな角に着色する
「右の三角形で一番短い辺はどれ?」と質問するとすぐに指さすことはできるでしょう。その短辺の両端の角を指でさしながら
「じゃ、この辺の小さい角に色を塗ろう?」と促します。
短い辺の小さい方の角に、色を塗ることができました。
別の三角形も同じ色を塗る
もう片方の三角形に注目させます。そして同じように「短い辺の小さい方の角」に青色を塗ります。
これで2つの三角形を眺めると、対応する角がパッとわかります。
別の色で着色する
次に色鉛筆をかえて別な辺に色を塗ります。
この時、短い辺の色を塗ってない方を探すといいでしょう。
するとスムーズに色を塗ることができます。同じ要領で、もう片方の三角形にも色を塗ります。
対応する角が色で分かる
これが色でわける作業を終えた状態です。
こうすることで、対応する色はパッと判断できます。ローマ字が言いにくい子もいますので、指さしで対応する角を答えさせるといいでしょう。
対応する辺はどうすればいいのか?
これも色で見分けられます。辺ABの両端の角は「赤→オレンジ」です。もう片方の辺についても「赤→オレンジ」を探せばいいのです。
最後に
合同な図形の対応する角を配色しましたが、その代わりに◯や×などの記号を使うこともあります。しかしそれだと図形が不得意な子、特に視覚情報をキャッチするのが不得意な子にとって、やはり難しいようです。
ここではできるだけ色鉛筆などをつかい、図形の辺や角の存在を的確につかませる。そうすることで「合同の性質」を概念として身につけることができます。