以前書いた“算数数学が分からない6つの原因”を2012年度版として書き直しました。分からない原因は意外なところにあります。
原因1)学び方が合っていない
ここでいう学び方とは授業の中で行われる知識や理解の伝達のことです。1つの授業である子には分かっても、別の子には分からないことはよくあります。
ここで能力的な高低ばかりがとりだたされますが、その子の伝達方法が子どもの特性にあっていないことも十分に考えられます。
注意点
まずは子どもの優先能力が何かを知る必要があります。視覚、聴覚、体験、読解。普段使っている言葉の表現や、物事を納得するときの傾向で分かります。たとえ分からない原因が他にあっても、学び方次第で解決することもありますので、正しい特性を知ることは大切です。
原因2)学ぶ内容が難しい
学習には「適切な難しさ」があります。これを無視して学習を進めると大変なことになります。子どもの理解度は低くなるがかりか、学習意欲もガクンと落ちます。
教える側が「少し内容が簡単すぎるかな…」と感じるものが好評だったりするものです。また、配列を工夫してスモールステップで、少しずつ難しくして学ぶことが大切です。
注意点
学ぶ内容は教材に左右されます。学習者のレベルにあった教材製作・教材選定。これはとても大切です。
原因3)基本が分かっていない
学習する前の部分[=前提となる部分]が分かっていないという原因です。 これは本当によくります。
基礎的な知識というのは、知っていて当然と思われがちです。しかし時間がたつと知識は曖昧になったり、解釈が変わったりします。子どもたちは学校・塾・友達・親など、いろんな人からいろんな言葉で教えてもらうことがあります。それらの学んだ情報が歪な解釈に変わることは少なくありません。
注意点
学習項目の導入の際、これらの基礎的な知識もふくめてこまめに確認することが大切です。失礼なぐらいさかのぼって学習することで、子どもの理解の様子が分かります。また軸となる流れをどこに置くのか?(学校・塾・家庭教師・親)これも考えるべきでしょう。
原因4)発達が追いついてない
子どもの学習発達段階が及ばず、学習の受け皿がまだできていないという原因です。 性別、早生まれ遅生まれ、環境など、いろんな要因で子どもの発達段階は異なります。
また近年、社会からも認知されつつある学習障害(LD・LLD・アスペルガー)などもこの要因の中に含めています。
注意点
発達段階は原因3の“基礎的な知識”との区別が難しいので、慎重な判断が必要です。
発達段階が原因の場合、あせって何度も説明をくりかえし、分からせようとしてしまいがちです。学習には今は理解できなくても、後で自然に理解してしまうものも数多くあります。 学習時期を組み替えたり、回避したりすることが大切です。
原因5)勉強の仕方が合ってない
ここでいう勉強の仕方とは自主学習の中で行われる知識や理解の吸収のことです。その子に合った効果的な勉強方法が行われていないことも十分に考えられます。原因1でも紹介した子どもの優先特性にあった学習と学習状況にあった勉強方法を考えることが大切です。
注意点
よく勉強方法に問題がある!と思われるケースが多いです。しかし実際この原因が重大であることは少ないです。日常の学習のなかで少しずつ工夫することが大切です。
原因6)学習の意欲がない
学習に対する意欲(意思)が弱いのが原因です。集中力が欠けたり、学習しても忘れやすいなどいろんな結果を引き起こします。
学習意思の原因はきわめて学習影響が大きくその要因は複雑です。 学習意思の研究は児童心理学でも盛んに行われています。
注意点
子どもたちが、やる気がない!と一喝されやすいところです。他の原因が改善させることで、学習意思が高まるケースがあります。また、学習意思をあげる特効薬は“心が躍る”という感覚そのもの。
学習意思の低下の原因は複雑ですが、解決策のポイントは実にシンプルです。(ただその心が躍る学習を作り上げるのは難しいのです…)
原因はつねに重なり合う
以上、6つの原因について説明しました。
これらの原因は1つであることは、ほとんどありません。 原因はいくつも重なり合っているケースがほとんどです。ですから「どれが大きな原因なのか?」と全てをひっくるめて見直すことが大切です。
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