「人見知りなお子さんにどうアプローチしていくか」それがなかなか難しい。
月1〜2回の臨時授業。プライバシーもありますので名前・地域を伏せて授業の様子を書き記してみました。
人見知りでクッションに隠れてしまう小3の女の子
小学3年生の女の子です。ぼくはドキドキしながらエレベーターで上へ。そしてマンションの玄関の前へ。
ドアが開いていました。
「うわ、きたー!」
という声が聞こえると、足音がドタドタと遠くへいきました。
「こんにちは。先生、ご無沙汰してます」とママが出迎えてくれました。
「こんにちは」とぼく。
『さて、今日はどうなるだろう…』
と洗面所で手を洗いながら考えました。
リビングへ入りました。
「きた!!!!」と女の子はクッションに隠れました。
あら?とぼく。
先月は間がちょっと空きすぎたせいか、押入れに入って中から出てこなかったのです。今回はクッションに隠れるだけでした。
そうか、うんうん。
ぼくが呼びかけると、すぐにこっちに来てくれました。そしてダイニングテーブルを挟んで、最近のペットの話を聞きました。
最近、飼い始めたザリガニの赤ちゃんを嬉しそうに見せてくれました。
「うわぁ小さいね!初めてみたよ」とぼく
「数ヶ月でおおきくなるって」と女の子
「つぎに来る時、楽しみだな」
そしてゆっくりと勉強の時間が始まりました。
まずはかけ算のチェック(2けた×1けた)
ぼくは0.7ミリの黒いペンをにぎって、ルーズリーフにサラサラと2けた×1けたの筆算を書きました。
レベル1「くり上がりがないパターン」
2問のみ
女の子は少し身構えています。
「では、レベル1からはじめるよ」
「レベルどこまであるの?」
「さぁ…8ぐらいかな」
問題はぼくの思いのままです。
女の子はチラッと筆算をみて『あ、これならできる』とカリカリとき始めました。
ぼくは「お、早かったね」といって紙をうけとり、赤いサインペンをにぎりしめ紙面をみつめます。
シュッ、シュッ
赤いマルがつきました。そしてその横に「くりなしOK」と記入。
「いいじゃん。では、つぎ行くよ」
ぼくは「まぁここはね」と呟いて、女の子をすこーし煽ります。その数秒間、女の子はじっとこっちをみています。
ぼくの心の中は【絶対に間違えさせてはならない!】という緊張感があります。
ぼくは次の筆算を書きました。
レベル2「10の位が繰り上がる」
2問。
さっきは3・4をかけたので、今度は5・2。
「はい」といって渡すと、すぐに女の子は解き始めました。
「レベル2だからね…」とぼく
そしてまた数秒後に紙を受け取ります。
じっと見つめて、シュッ!シュッ!と丸をつけます。「10クリOK」と記入。
「よし」と女の子は笑顔です。
そして女の子は「レベル3・レベル4と攻略します。
ぼくの表情は「お、やるな」から「え、マジで!」と変わっていきます。そして全問正解!

女の子は自信満々です。ぼくは悔しそうな表情をします。
「ここからだよ!本番は!」といって、ぼくは袖を捲ります。そして紙を裏返す。
次はかけ算のチェック(3けた×1けた)だ
そして書き始めたのは「3けた×1けた」の筆算です。
レベル5「くりあがりなし」2問
「どうだ!これで!」と言わんばかりに、女の子の前にスッと差し出す。
問題のテンポは崩しません。レベルは僅かに上げていく。女の子の解き方(鉛筆の動き)をみながら、ぼくもレベル調整をしているのです。
「いける!」と踏んだのか、女の子はとき始めました。
正解
シュッ!シュッ!の音のあと「くりなしOK」と記入します。こっちも適当に数字を選んでいるわけではないと女の子に伝わります。
これは挑戦状です。
そうしているうちに、レベル6・レベル7。そしてレベル8まで終わりました。

全問正解です。
途中で、みかんちゃんが登場しました。
「すごい」「メモOK」
繰り上がりのメモです。
じつはこの女の子、別の先生から「繰り上がりを書くな!」と言われて、ずっと「書いてはいけない」という強迫観念で書かなかったのです。
ここで書いたことをぼくはしっかり評価しました。
しかし…挑戦に負けてばかりのみかん先生。
「なに!これもクリアしたのか!」
ここでオメオメと逃げ帰るわけにはいきません。
「おのれ…そうだ!あれがあった!」とぼくは悪い顔をしました。
算数嫌いも楽しく学べる「凸ドットカード」をする
バックの中からニョキニョキと取り出したのは、以前失敗した「凸ドットカード」です。
ヘヘヘ…どうだ、ニヤリとわらうみかん先生。

前回、凸ドットカード(10)を渡しました。そのとき間違えてしまって、やる気が消沈したのです。
今回は凸ドットカード20。これは怯むだろう。
「参ったでしょ」
「やる」
「え・・・・」
「ちょうだい!」と勝気です。
ぼくは手を震わせながら「ど、どうぞ」と渡しました。
凸ドットカードはカード表面に凸シールを貼っています。表面をみないで、指先だけで凸ドットの数を当てるというもの。

小学1年生から高校1年生まで休み時間にやる大人気のカード教具です。
しかし20になると難易度が上がるのです。さすがにぼくも内心ヒヤヒヤです。
そして1回目…間違えてしまいました。女の子は【しまった!】という表情です。
「よし、練習はここまで!次から本番ね」とぼく
「う、うん」
仕切り直しです。女の子はより慎重になって、なんとか正解しました。
やった!と飛び跳ねる女の子。ぼくは「うわぁ〜えぇ〜なんでぇ〜」と驚きの声です。
最後の仕上げは「秘密の暗号筆算」だ!
ひき算のチェックをやろうかなと思ったのですが、それは乗り気ではない。
あ、そうなんです。女の子はひき算が嫌いです。
ぼくはすぐに「じゃ、秘密の暗号でいこう」と提案
「なにそれ?」
「この間、別の子でやったんだ…えっと何だったかな…」スマホをから画像を探します。
女の子はなになに?と興味を持ち始めました。
ぼくは「あった!」といって、ルーズリーフにサラサラとひき算をかきました。
- 649–526
- 594−138
- 912–123
この計算に暗号が隠されているんだ。上の2つだけ解いていい。でも3つ目は解かないで当ててほしい。
女の子は「何があるの?」
「それを言ったら暗号じゃないじゃん」
女の子はひきざんを解き始めました。1問目は繰り下がりのないひき算です。すぐに「ん」と手を止めました。
そして次の筆算を解きました。繰り下がりが1回あるひき算です。
その瞬間、「わかった…」といいました。
「最後の筆算、「789」でしょ。」
ぼくは「え‥」という表情。さぁね、ととぼけた表情をします。
「たしかめてみればいいじゃん」
そして女の子は解き始めました。
「やっぱりだ!」
「はい…正解です…」悔しそうなみかん先生。
ガッツポーズをする女の子。

最後にオマケの筆算として617×2をして「1234」で締めくくりました。
おわりに
玄関先で挨拶をして「エレベーター」に乗り込みます。
「よし、おわった」
1人で授業の振り返りです。1時間の授業。
嫌がっていた「かけ算・ひき算」のチェックができました。繰り上がりの連続問題があるとミスを起こす可能性はあるかなぁと思いました。でも意地悪な計算問題がない限り、それはないでしょう。
なにより僕との勉強時間を心から楽しんでくれてよかったと思います。
また来月、ザリガニの成長を喜べたらと思います。
