分度器の使い方で悩む子へ|操作の手間をゼロにする「逆転の発想」の手作り角度教具

角度を測る教具(試作) 小学4年生
小学4年生

分度器を使った角度の学習。2回目にあたり、急拵えで「角度の教具」を制作することにしました。

制作時間は5〜10分。これまでたくさんの教具を作ってきましたが、さすがに『こんなに簡易的なものでいいのか…』と不安になりました。

授業で使ってみた結果をいうと、これは十分に学習価値を生み出してくれました。

この記事では、角度の教具を作るに至った理由、そしてその実践の成果、今後の課題を書き留めます。

課題「分度器が上手く扱えない」

1回目の授業では「分度器」をつかって授業を実施しました。そのとき利用した分度器はこちら。

分度器で角を描く
メーカー「KUTSUWA」の分度器。いろんな箇所に配慮がある。

長年、このサイトでも紹介してきました。しかし、分度器を扱うのが難しい子というのは、この分度器でもなかなか難しいです。従来の分度器には避けられない難しい動作が連続します。

  • 角に対して分度器を正しい向きにおく。
  • 辺に分度器の下線を合わせる。
  • 角の頂点に分度器の中心を合わせる。
  • 適切なメモリを目で追う。
  • メモリを正しく読む。

そのとき、ぼくは線に補助色を塗ってサポートをしました。それでなんとか出来た訳ですが…ふと、立ち止まったのです。

分度器の操作ってさほど優先順位は高くないぞ。

誤解なくいえば、ぼくは「分度器なんて使えなくていい」と言っているわけではありません。角度を測るには必要ですし、作図の時にも利用します。

しかし分度器を扱うのが難しい子は、分度器の操作だけで気持ちがいっぱいいっぱいで、肝心な角度の存在を認識することが疎かになるのです。

  • 角の大きい・小さいが分からない。
  • 角度は、たし算・ひき算ができると思わない。

こっちのほうが問題です。

そこであの煩わしい分度器の操作をなくす教具をつくればいいと思ったのです。

解決案「固定された分度器を制作」

そこで発想を逆転して、生み出した教具がこれです。

角度を測る教具(試作)

厚紙に大きな分度器を描いて、カード状の角をそこに置いて測る分度器です。

教具といいは難い簡素なものとなりました。角度が苦手な子に向けたて、設計で工夫したのは4点です。

分度器の中心と角の頂点に赤印

どこに合わせればいいのか分からない…ということがないように、分度器の中心・角の頂点を赤色にぬりました。

この2つの赤同士をくっつけるだけでいいのです。

辺を合わせる凸フック設置

また普通の分度器では辺を合わせるのも微妙にずれて難儀だったりします。

そこには凸フックをつくり、そこにピタッとくっ付ければそれで0スタートが完了できるようにしました。

角度は10度きざみ

従来の分度器はメモリが細かいです。それを読むことも難しいですし、お子さんが「難しそう」と感じて学習意欲を下げるリスクもあります。

そこでメモリはざっくり10度刻みにして、「これぐらいの角度なんだな、わかればいい」と割り切りました。

角カードは6種類だけ

いろんな角を測りたくなります。しかしたくさんの角カードを作ると学習効果が下がると考え、わずか6種類(30度・45度・60度・90度・135度・150度)にしぼりました。

教具づくり成功の法則として「目的がはっきりしている」というものがあります。そういった点では、この教具はかなりはっきりしています。

では、子どもたち(2名)に試した結果はどうだったか。

結果「分度器の操作ゼロ。角の存在を理解」

操作難はほぼゼロ

分度器を辺に合わせる動作が、角カードを凸スライドにくっつけるだけになりました。あとは横にスライドするだけ。

次に赤い目印の説明をしようとすると「ここに合わせるのか!」と勝手に合わせることができました。

すべて1人でできる。

なんだか分度器で四苦八苦した時間が、ほんとバカみたいでした。

角の大きさに集中できた

角の学習で最も大切なのは角度とはひらき具合を表す数量だということです。それは教えてわかるというより、体感してわかるものです。

お子さんに「90度を作ろう」と課題を設定しました.

45度と30度の組合せ
45度と30度の組合せ。直角(90度)には満たなくて、ちょっとがっかり。

操作しているとき角度を計算しません。勘で色々と入れてみる。それで揃ったところで組合せを書き留める。それぞれの角を足してみます。

すると90度が一致する。

「そうか!たし算でわかるんだ!」と発見できました。

90度をクリアすると次は180度です。

135度と30度の組合せ
135度と30度の組合せ。180度に満たなくて、肩を落とした。

組合せは数通りあるので,いろんなパターンで180度を目指します。

こちらも180度になる組み合わせを書き留めて、最後にたし算をします。どれも180度。

ここで数の基数性という側面に触れていきます。

となると次は一周分(360度)を作りたくなります。教具の範囲を超えているので、机の上でやりました。

それぞれの角を組み合わせて360度をつくる
135度、90度を2つ、45度を組み合わせて円(360度)をつくった。試行錯誤の結晶。
90度、45度、135度などを組み合わせて360度をつくる
90度、45度、135度などを組み合わせて360度をつくった

こちらもそれぞれの角を足してみます。するとどれも360度。

「わかった!一周は絶対に360度だ!」

と自分で法則を発見できました.

その他の角度の学習

教具を遊び感覚で触っていると、いろんな発想がうまれます。

角カードは裏返すと角度は変わる?

ぼくは「角カード角の大きさは裏返すと変わるか?」というクイズを出しました。

「ならない!」とお子さん。

ぼくは不審がってゆっくりと教具に当ててみます.もちろん、同じ角度です。

「よし!」と盛り上がりました。

角度当てゲーム

目を瞑って角カードを触り、角度を当てるゲームです。見て学ぶだけでなく,指の感覚を研ぎ澄まして学ぶことは、算数が苦手な子たちに大切です。

これも大いに盛り上がりました。

お子さんの分度器操作でお悩みの保護者へ

分度器の操作の主な目的は「角度の大きさを数値で把握する」です。これは別に分度器である必要はありません。

このような数分でできる教具でも十分な効果がありました.分度器操作で格闘するぐらいなら,このようなものを使ってみることをお勧めします。きっと有意義な時間になると思います。

今後の課題

教具として大きな学習効果があることはわかりました.これからはこの教具をもう少し丈夫に作り、さらなる操作性の向上を図るところです。

第二弾ではリニューアルした教具のレポートを書けたらと思います。

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