「算数数学は図を描いて考えることが大切です」と日頃から子どもたちに話しています。今回、この記事で、発達心理学の学者さんによって明らかにされた「図解と補助説明が子ども達の学習理解を向上させること」が証明した実験について説明します。
学習には言葉を理解する力がいる
同じ年齢の2人の子に、同時に説明します。 1人はすぐにそれを理解できましたが、 もう1人は何度説明を繰り返しても理解できません。この主な原因はなんでしょうか。
それは言葉をキャッチし意味や関係を理解する「言語理解力」です。 この力が低い場合、説明を何度してもなかなか理解にまで至りません。
今回の実験はこの言語理解力を補うための「図解の効果」や「補助説明」の効果を明らかにするものです。
実験の内容
これはある発達心理学者が実際に行なった実験です。実験対象は小学6年生の子供たち。 この子たちに右の算数問題(参照:問題)を解いてもらいました。
子どもたちを言語理解力別に高い群、低い群と2つに分けました。
そして高い群、低い群を学習援助別にさらに3つに分けます。学習援助は以下の通りになります。
(1)援助なし群
問題だけを手渡し、援助はしません。
(2)図解の援助群
問題の数量を表現した線分図(数の大きさを表した線。参照:図解)を提示します。
(3)図解と補助説明の援助群
上記の線分図に加え、その線分図を言葉で解説します。
このような6つに分別された群の平均点を求めてみました。
実験結果「低学力層ほど図と補足説明の効果が大きい」
右のグラフは分別された群の平均点を表したものです。 援助を受けた子の方が、言語理解力の高低に関わらず学習成果がでています。
とくに「言語理解力が低い図」と「援助説明を受けた群の子たち」(左から3番目)をごらん下さい。
言語理解力が高い援助なしの群の子たち(左から4番目)と同等です。
この結果から言語理解力が低い子には図と説明の援助が特に効果があるといえます。
図を描くことが大事です
今回の実験では、図や説明が提示されています。
子供たちが、実際に文章題を解くとき図や補助説明がありません。言語理解力が低い子たちはやはりうまく解けないのでは?と思うかもしれません。
それならば、文章を図にかえる技術を身につけてしまえばいいのです。
子ども達に適切な指導し、図の意味さえしっかり理解する。
そうすれば補助説明なく文字情報を図をつかって表現できるでしょう。
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