「小学6年生の算数」の教え方の例

円の面積を求める公式の意味は?はやさの3公式ってゴチャゴチャになる…などといった算数でみうけられる6年生の算数の分からないへの解決法を紹介しています。

「円の面積をもとめる公式の意味がわからない。」

どんな円でも、細かいおうぎ型に切って入れ子につなげると、その形は長方形に近づきます。その長方形は、一辺は半径の長さで、もう一辺は円周の半分の長さ。この長方形の面積を求めることで、円の面積は求められます。さて、この円の面積と同じである長方形の面積の式をみていくと…
長方形の面積=半径 × 円周の長さの半分
=半径 ×(直径×3.14)÷2
=半径 × 直径÷2×3.14
=半径 × 半径  ×3.14
となってしまうわけです。

「葉っぱ型などの面積が求められない。」

  1. 奇妙な形の面積を求める公式等はないことを確認します。
  2. 面積は足したり引いたりできることを確認します。
  3. 面積が求められる形(円・扇・長方形・三角形)を探します。
  4. 複雑な面積を求める式(面積を合わせるか?面積をひくか?)を考えます。

「文字を使って表そうの単元で、◯をアルファベットのx,yなどで表すことができない。」

無理をして◯をXに変える必要はありません。◯の中にXを書き込んで、一時は◯の中にXをかき込む形でも良しとみなしていいと思います。徐々にXに対して、抵抗が無くなるはずです。

「分数のかけ算で、どうして分母同士と分詞同士をかけあう意味か分からない。」

またの機会で説明します。

「分数のわり算で、なぜ割られる数を逆数にしてかけるのか意味が分からない。

またの機会で説明します。

「図形の線対称がわからない。」

対称の意味は、対になって並んでいるです。まずはこの状態の意味を、具体的な例で捉えます。その上で線対称とは、「線を境に対になって並んでいる」ということを説明します。
あとは具体的に図をつかって、線を境に辺や角が線を境に対になっているかどうかを確かめます。

「図形の点対称が分からない。」

線対称が「線を境に対になって並んでいるようす」であることを確認します。そのうえで「じゃ点対称はどんな意味かな?」と子どもに尋ねると推測できるはずです。
点に対称という状態がどういうものか?を具体的に示してあげます。そして図形の辺や角が対象の中心を目印に対称になっているか確かめます。
点に対称であるということは、180度向こうに同じ辺や点があることなので、180度回転させても図形は同じ形であることも確認します。

「1点を点対称とした図がかけない。」

以下の手続きを踏むといいでしょう。

  1. 点対称な図形には必ず「点の向こう側に同じ辺や点がある」ことを確認します。
  2. 図形の頂点(角)に点を打ちます。
  3. 頂点から中心を対称とする点を打ちます。(このときに頂点と中心を直線で結びます。)
  4. 全ての頂点に対称な点を打ち終えたら、次に各点を直線で結びます。

「比が分からない。」

比が分からない子は、比を1つの量と捉えてようとする傾向があります。「比は大きさの具合を表すもの」と簡単に説明します。その上で、大きさの具合を目盛化して、感覚的に捉えられるようにしてあげるといいでしょう。

「拡大図と縮図が分からない。」

長さの比がそれぞれ等しい図形同士の関係が、拡大図と縮図です。しかしこの説明ではよくわかりません。
そこで1つの図形をドラえもんのビッグライトで大きくした図形が拡大図。スモールライトで小さくした図形が縮図と言えば分かるでしょう。そのとき、元の図と大きくした図(小さくした図)は辺の比が同じであることを確認すればいいと思います。

「はやさが分からない。」

はやさはものの動きの様子を表すものであり、それを数で表現することそのものがよく分からない…という子もいます。そこで「はやく進めば、遠くまで行ける」概念を確認した上で、「一定時間に進める距離は、はやい方が距離が長くなる」ことの理解に努めます。
その上で「1分,1時間といったキリのいい時間のなかで、進んだ距離を表すとそのはやさも表現できる」と教えます。

「はやさの3公式がゴチャゴチャになる。」

はやさの3公式【はやさ=みちのり÷時間・みちのり=はやさ×時間・時間=みちのり÷はやさ】は、はじきで覚えたり色んな指導の仕方はあります。はやさが苦手な子は、3公式は覚えずに逆算を使うのも手です。
1)はやさ×時間=みちのりをしっかり理解する。
「1分間に60m進むはやさで、5分歩くと何mすすめるかな?」という簡単な例で考えさせると、道のりはかけ算で求められることが分かります。
2)どんなはやさの問題でも、まず、はやさ×時間=みちのりで式をたてます。
例:分速40mで480m進むときの時間は?
40×◯=480
3)逆算を使い◯の数を求めます。
480÷40=◯だから12分。

「時速60kmで2時間30分進んだときの距離の問題で、60×230としてしまう。」

かけ算の本質的な部分が理解できていません。かけ算は1時間あたりで60km進むのですから、れを2時間30分を1時間あたりの単位時間に揃える必要があります。
2時間30分であれば、30分だけを時間にかえます。30分は0.5時間。2時間+0.5時間=2.5時間となります。

「はやさの単位変換ができない。」

単位表を使う方法等ありますが、線分図で考えられた方が本質的なので定着もいいでしょう。
後日、その方法を掲載します。

「およその面積がわからない。」

「およそ」という言葉の意味がピンときていない可能性があります。「正しい面積ではなくて、ある程度これが近いかなぁとおもう面積」という感じで話すといいでしょう。

「比例のグラフが上手く書けない。」

以下の手続きを踏んでいきます。
1)表や文字式をつかって、2つの量の数を求める。
2)それぞれの2つの量をグラフに打点していく。
3)いくつか打点をしていくと、そこに点の並びが見えてくる。その点を繋ぐ。
はじめはフリーハンドでもいいです。とにかく打点をしていく中で、比例を肌で感じることが大切です。

「以上・未満の意味が分からない。」

字の意味から教えます。以上の「以」は、おおよそ”はじまりとして”という意味があります。5以上は「5を始まりとした上のこと」を意味します。
未満の「未」は“〜はない”という意味があります。5未満は「5を満たしてはいない」つまり、5より小さいところを示しています。
以上と未満を教えると同時に「以下」や「より大きい」も教えてあげると子どももスッキリ納得すると思います。

「柱状グラフの意味が今ひとつピンとこない。」

柱状グラフは、それまでの数量のグラフ(棒グラフ・折れ線グラフ)と、本質的には意味が異なります。簡単に言えば、散らばりを表すグラフ。はじめは「エリアごとに括って、そのエリアに入っている個数を整理したグラフだよ」と伝えて、それが理解できれば十分だと思います。

「樹形図がかけない。」

カードの問題等で使われる樹形図。少し抽象的な要素があるため、どうもしっくりこない子もいます。そんな時は教え込む必要はありません。カードの並びでひとつひとつ挙げていく方法で、とりあえず解決していきます。
そしてカードで挙げた方法のあとに、それを色鉛筆等で樹形図としてなぞってあげると、その樹形図の意味が少しずつ掴めると思います。

「4枚のカードから2枚選んで、2けたの整数をつくるとき何通りできるか?の問題で洩れが生じる。

思いつくままに並びを挙げていると洩れは生じます。洩れなく並び上げるには「固定する」と「入れ替える」の手続きを踏む必要があります。
1・2・3のカードで3けたの数を作るなら、123を挙げます。
1を固定して23を入れ替えると、132。
もう下の2けたは、入れ替えても123になるので、その他はありません。そこで1の固定を外して、2を固定し213があがります。下の2けたを入れ替えて231。…という風になります。

「組合せの問題で「ABとBAは同じだから、BAは含まない」という考え方が分からない。」

この組合せの理解は、中学生高校生でも分からない子はいます。これは5人の中から班長と副班長を選ぶ話と、給食当番2人を選ぶ話で比べて教えるといいでしょう。

◯班長と副班長を選ぶ話
班長【 】・副班長【 】とおきます。AくんとBくんを入れてみます。
(1)班長【Aくん】・副班長【Bくん】
(2)班長【Bくん】・副班長【Aくん】
この2つの場合は、役が全くちがいます。
◯給食当番を2人選ぶ話
給食当番【 ・ 】とおきます。AくんとBくんを入れてみます。
(1)給食当番【Aくん・Bくん】
(2)給食当番【Bくん・Aくん】
この2つの場合は、役は同じ給食当番です。このような場合は、省いて考えます。これが組合せの考え方です。