従来の正負の教えかたでは、すぐ忘れてしまう。説明してその時は分かっても、時間経過すると忘却…。そんな子へ教えるとき有効な教え方として「嗜好」が使われます。この記事は、ガンダム好きに対するぼくの正負の数の挑戦です。
従来の教えかたは?
正負の数はいくつかの教えかたがあります。一般的なものは数直線。ほぼ全ての教科書がこれなんです。
しかし、これがしっくりこない子もいる。彼らから「毎回、数直線を書かなきゃできない」というコメント。
今回紹介するガンダム好きな子もこのタイプ。数直線はどう?と尋ねると、
「これで考えるの面倒です…」
とひと言でした。
嗜好を活かせ=ガンダムで教えよう
それでぼくは、正負の数を「数直線」ではなく「ブロック」で教えようと決めました。ブロック…いや、それでもイメージがしにくいだろう…ブロックを何かに代用…代用…すると目に飛び込んできたガンプラ(ガンダムのプラモデル)。決めた。
「ガンダムで行こう」
そして始まったのがこんな解説。
地球連邦軍とジオンの戦い
ガンダムについて知らない人は是非、ガンダムを調べて下さいね。さて、指導開始です。ぼくは彼に言いました。
「まず…地球連邦軍(以下『連邦軍』)はガンダムの青(◉)。ジオン公国軍(以下『ジオン軍』)はザクの赤(◉)。イメージとしてあっているかな?」
地球連邦軍
|
ジオン公国軍
|
ー(マイナス)
|
+(プラス)
|
「はい、そうですね」
「連邦軍(◉)もジオン軍もモビルスーツ(注:簡単に言えば“人形ロボット”のことです)をもっているよね?」
「はい」
「ジオン軍(◉)のモビルスーツが3機いて、5機と合流する。地球連邦軍(◉)とジオン公国軍(◉)どっちのモビルスーツが何機ある?」
「それはジオンが8機です。」
「それはこういうことだよね?」
イメージ式 | ◉◉◉+◉◉◉◉◉ | =◉◉◉◉◉◉◉◉ |
数式 | (+3)+(+5) | =+8 |
「連邦軍(◉)が4機いて、さらに2機と合流する。地球連邦軍とジオン軍(◉)どっちのモビルスーツが何機ある?」
「連邦軍(◉)が6機」
「それはこういうことだよね?」
イメージ式 | ◉◉◉◉+◉◉ | =◉◉◉◉◉◉ |
数式 | (-4)+(-2) | =-6 |
「連邦軍(◉)が2機とジオン軍(◉)が4機がはちあった…このとき戦うよね?」
「はい、戦いますね」
「それぞれが相打ちだったら連邦軍(◉)とジオン軍(◉)どっちのモビルスーツが何機のこる?」
「多い方が残ります。ジオン軍(◉)が2機、残ります」
「それはこういうことだよね?」
イメージ式 | ◉◉+◉◉◉◉ | =◉◉ |
数式 | (-2)+(+4) | =+2 |
この後に―(マイナス)は地球連邦、+(プラス)はジオン軍になぞって、正負の計算を扱いました。イメージの横にその数学の記号を書く。それが意味するものを、セットで受取るのです。
この後に、(−5)+(+3)は?と尋ねると
「−5は地球連邦軍が5機…+3はジオン軍が3機…相打ちだから地球連邦が2機だ!」
とわかりました。これで無事、正負の数の学習が完了。いや、正負の数が大好きなガンダムの世界になりました。
まとめ
数学の記号は、一部の子たちにとって眠い以外の何ものでもない。時に、やる気の話ではなかったりします。
ここで強引に論理付けを行なっても定着しません。それをその子の嗜好によって、想像しやすくさせることは効果的な方法です。
追記:「嗜好」は可視化で注意する点
それで「その子の嗜好物のイメージに合わせる」は常套手段なのですが、それを成功させるには2点注意が必要です。
- イメージの色と数学記号(イメージ)が合致している
- 数学とイメージ、両方の論理構造が合致している
この点に気をつけていけば、強力な学習補助になります。うまく活かしていきたいものです。
ではまた。