テープ図でまとめる算数の文章題12パターン

文章題を解くとき『たし算なのか、ひき算なのか…さっぱり分からない』と嘆いている子を教える先生のためのテープ図をつかった代表的な問題12パターンの教え方のポイントをまとめました。

たし算1:合併タイプ

【例題1】
公園で男の子が3人、女の子が4人います。公園には子どもは何人いるでしょうか。

2種類の数量からその上位概念の数量を求める問題です。よくたし算の導入で用いられます。

種類全体
種類1
種類2

合併タイプを教えるポイント

  • 大きなテープ図のワクにおはじきを入れて考えると良。
  • ゆっくり上位概念(子ども)を繰り返し説明します。
    例「男の子はこども、女の子もこども。だから、こどもの数は男の子と女の子の数をあわせた数になります。」

たし算2:増加タイプ

【例題2】公園で子どもが3人遊んでいました。しばらくして、4人の子が公園にやってきました。公園に子どもは何人いるでしょうか。

時間経過が経過した後に、数量がふえる問題です。外から数が入るパターンと、物体そのものが増加するパターンがあります。

あとの量
まえの量
ふえた量

増加タイプを教えるポイント

  • 時間経過を捉えることが難しい場合、時間の前後を写真で撮って考えさせると良。
  • 「外から入って増える→物体自身が増加」の流れで教える。
  • 「増えるからたし算」とならないためにも、テープ図の様子でたし算判断をするように促す。

たし算3:引元タイプ

【例題3】あめ玉の袋をあけて3こたべました。まだ袋には4こ残っています。はじめ袋にあめ玉は何個あったのでしょうか。

減った数量からもとの数量を問う問題です。多くの子が文章中の“へる”という言葉をみて、ひき算と判断しがちです。

はじめの量
のこりの量
へる量

引元タイプを教えるポイント

  • はじめの量とのこりの量の大小を尋ねると整理しやすい。
  • へる量をテープで表すことに納得できない時は、おはじきをつかって教えます。
  • はじめの数を手で隠しのこりの数を示します。

そのとき「へる量は隠れて見えなくなった量だよ」
と何度も隠しては見せてを繰り返します。
その上で、へった量を“見えなくなった量”と捉え直すと良いでしょう。

たし算4:全体タイプ(順番と後方)

【例題4】子どもたちが1列に並んでいます。けんじくんは前から5番目です。けんじくんのうしろには3人います。子どもたちはみんなで何人並んでいますか。

順番から個数を把握して、全体の数量を求める問題です。

ぜんたい量
まえの量
うしろの量

全体タイプ(順番と後方)を教えるポイント

  • 5番目の子を含めてまえに5人いると捉えることが難しい子もいます。そのときは絵やおはじきなどを使いしっかりと順序数と個数が対応することを確かめさせましょう。
  • 「◯のうしろに3つ」などの表現では◯自身は数えません。「◯のうしろ だから◯は入らない」と色んな例を踏まえて考えさせましょう。

たし算5:全体タイプ(異種対応)

【例題5】4人の子どもがいちりんしゃにのっています。いちりんしゃはあと5台あるそうです。いちろんしゃは、ぜんぶで何台ありますか。

異種の個数から求める単位の数量を判断し、全体の数量を求める問題です。

ぜんたい量
同量別種
種類1

全体タイプ(異種対応)を教えるポイント

  • 人と台と数の種類が違うことに触れます。
  • 乗っている4人はそれぞれ1台ずつ持っていることをしっかり伝えた上で、問題文の近くに4台と書き込みましょう。
  • この問題が想像しにくい場合、おはじきや絵をつかって状況を表してあげるといいでしょう。

たし算6)全体タイプ(自身と前後)

【例題6】バスていに人が並んでいます。かずくんのまえには4人、うしろには6にんいます。ぜんぶで何人並んでいるでしょうか。

1列に並ぶ“全体型(順番と後方)”と誤解を受ける問題です。

ぜんたい量
まえ
じぶん
うしろ

全体タイプ(自身と前後)を教えるポイント

  • これはこれまでのテープ図の応用です。状況が把握しきれないときは絵で示してあげるといいです。
  • 全体タイプ(順番と後方)と誤解しやすいので、違いをわかりやすく示してあげます。
  • テープ図に一本線を入れて、自分テープ欄をつくることがそれとなく理解できれば十分だと思います。

ひき算1)求残タイプ

【例題1】公園で子どもが8人遊んでいました。しばらくして、3人の子が公園の外へ出て行きました。公園の中に子どもは何人いるでしょうか。

ひき算の基本となる残りを求めるタイプです。同じ空間のなかにもとの数とへる数があるので子どもたちには考えやすいです。

はじめの量
のこりの量
へる量

求残タイプを教えるポイント

  • はじめは状況を絵やおはじきで示し、へる量は手で隠すなどして前後の状況変化をしっかり観察させましょう。
  • 短いテープの量を求めるには上の長いテープからもう一方の短いテープの量をひくことを伝えます。
  • 「へるからひき算」とならないためにも、テープ図を確認してたし算,ひき算を判断する流れに気を配ります。

ひき算2)求補タイプ

【例題2】公園で子どもが7人遊んでいました。男の子は3人います。公園で遊んでいる女の子は何人いるでしょうか。

上の種類(例:子ども)の中から、下の種類(男の子,女の子)を求めるパターンです。

種類の全体
種類1
種類2

求補タイプを教えるポイント

  • テープ図での位置関係が分からない時は、こどもと男の子と女の子の言葉をかき出しテープ図で関係を整理します。
  • 同じ内容の問題で、求める種類を変えるとより深く理解できます。

ここでたし算の合併パターンを復習し、たし算とひき算の判断の違いを改めて整理しなおすといいと思います。

ひき算3)求差タイプ

【例題3】母親からあめ玉を姉は7つもらい、妹は4つもらいました。どちらがどれだけ多くあめ玉をもらいましたか。

2種類の量の大きさにかならずある差を求めるパターンです。

種類1
種類2

求差タイプを教えるポイント

  • 「どれだけ多く」という差の表現を視覚的に示します。
  • 差の捉え方は12年生には高度です。難しそうであれば学習回避し、すこし様子をみてもいいでしょう。
  • 別な視点から、小さい量に差の分だけ量をたすと大きい量と同じになることも踏まえていいでしょう。

ひき算4)求引タイプ

【例題4】13つぶあったラムネが妹に食べられました。ラムネは8つぶ残っていました。妹はラムネを何つぶ食べたのでしょうか。

減った部分(引いた部分)を求めるパターンです。

はじめの量
のこりの量
へる量

求引タイプを教えるポイント

  • 求残タイプのテープ図で求めるあまりの量に対し、これはへる数を求めるようになっただけです。テープ図をみて計算の判断するようにさせましょう。
  • もとの数から答(へる量)をひいて、のこりの量になることもたしかめさせましょう。

ひき算5)求増タイプ

【例題5】バケツに貝殻が5枚入っていました。砂浜を歩いて貝殻を拾ってバケツに入れていくと、砂浜を歩き終えたときバケツの中に貝殻が12枚入っていました。砂浜で貝殻を何枚拾ったでしょうか。

数量が増えたあとからもとの数を求めるパターンです。

あとの量
はじめの量
ふえた量

求増タイプを教えるポイント

  • はじめの量、ふえた量、あとの量のなかで、もっとも多い量はどれかを考えさせるとテープ図が分かります。
  • たし算2の増加タイプと対応しています。
  • 時間の前後を写真や、絵を使って示すと把握しやすいです。
  • ふえるという言葉につられて、たし算と判断しがちです。

ひき算6)求元タイプ(増加元型)

【例題6】太郎君のお菓子袋にあめ玉が入っています。母親からあめ玉を4こもらい袋に入れたので、あめ玉の数は12こになりました。はじめ太郎君の袋の中にあめ玉は何こありましたか。

数量が増える話からそのもとの数を求めるパターンです。

あとの量
はじめの量
ふえた量

求元タイプを教えるポイント

  • たし算2の増加タイプと対応しています。
  • 文脈で時間経過の前後関係が掴みにくい場合、ゆっくりと問題を読ませて状況の把握に時間をそそぎましょう。
  • 増える話ということで、増加タイプのテープ図を示してヒントを与えてもいいでしょう。

まとめ

たし算やひき算の判別は文脈から読みとるのではなく、状況整理から出発します。ここではテープ図による12パターンを紹介しましたが、テープ図の形のみなら5パターンほど。すると「それさえ覚えさせればいい!」と思いたくなります。

しかし本当に大切なことは、その数量の関係を子ども自身が見抜けることにあります。ですからそのためにも、2量の差、増加(減少)するときの変化など、その関係を支える現象をしっかりと目や手を使って体験させることが重要です。