引かないひき算の方が本当は多い。それで苦手な子どもたちはひき算で躓いてしまいます。このページでは、引かないひき算の正体とその対応方法について説明します。
多くの子が「ひき算」で躓く
算数が不得意だったというヨメさん。一番はじめにつまずいた単元は何?と聞いたところ即答で、
「ひき算!」
という応えが返ってきました。理由を尋ねてみましたら、とにかく意味がわからなかった」と回答してくれました。
人間、長く生きれば挫折の1つや2つはつきものですが、小学1年生の2学期にひき算で味わったヨメの挫折は、なんと不憫でなりません。
しかし、このひき算。実をいうとこの単元で壁に当たる子供たちは少なくありません。それはひき算が使われる場面が、ひいていないのに起こりうるからという理由もあるからです。
ひかない引き算
ひき算なのに引かないなんて、そんなことはありえるの?と考える方は多いと思います。例えばこの問題をごらん下さい。
[問題]教室に子供が15人います。男の子は6人います。女の子は何人いますか。
式:15-6=9
答:9人
子供全員の数から、男の子の数を引く。すると女の子の数がわかります。この問題は特に一方の存在が消えたわけではないのに、引き算を使って答を求めます。このようにひかない状況でありながら、ひき算を用いる場面、ご理解いただけたでしょうか。
ひき算という響きの問題
ひき算の一番の問題点は、「ひき算」という言葉にあります。この名称の響きが子供たちの中で、引いて消える計算と定義づけられているのです。しかし実際、引かない場面で引き算は使われます。
このひき算の勘違いは、多くの学校や塾ではほとんど注視されずにすすんでいきます。「差を求めるから引き算」「それ以外を求めるから引き算」と半ば当然のこととして扱われます。お子さんから
「なぜ、差を求めるときはひき算なの?」
と問われても大人たちが言葉で説明するのは難しいでしょう。
なぜなら、言葉を受ける子供たちが、まだ納得できる論理性を持ちあわせていないからです。言葉の響きで定義づする子供たちに、説明をしても理解は得られません。このときこの言葉の吸引力に勝る唯一のものがイメージなのです。
操作とイメージでひき算を理解する
ひき算を使う場面は、大きく3種類あります。その3種類すべてを1つのイメージに置き換えて、ひとつひとつ丁寧に操作を通して理解するのです。
私の場合、目に見えるタイルやエンピツをもちいて、ひく数を目隠ししていく方法をとっています。この手で隠す=見えなくなるというところが、もっとも大切なポイントです。
ひき算を用いる場面のイメージ理解はとても大切です。たし算と同様、疎かにされやすいところなので、導入の際は慎重に扱っているところです。