人の認知って面白いよなぁといつも感心することがあります。とくに内容は1語とも変わっていないのに、その文の出し方で難しくも簡単にもなる。ちょっとここでご紹介。
情報の出し方で難易度が大きく変わる
2文を見比べ
こんな問題があります。
《もんだい1》
なおくんは、アメだまを 4こもってます。なおくん と はるくんの アメだまを あわせると、13こです。
はるくんは、あめだまを いくつもっていますか。
小学1年生の算数の文章題です。
13−4で、はるくんのアメだまは“9こ”です。
まぁ、我々大人にとってみれば難しくはないと思いますが、小学1年生だと別です。分からないことの方が普通です。でもこの問題を以下のように書き換えるとできるんです。
《もんだい2》
なおくん と はるくんの アメだまを あわせると、13こです。なおくんは、アメだまを 4こもってます。
はるくんは、あめだまを いくつもっていますか。
内容は全く変わっていません。
前の文章題“《もんだい1》”の1文目と2文目を入れ替えただけです。しかし、これだと分かってしまうんです。
よく読み比べてみてください。どこか《もんだい2》の方が分かりやすく感じませんか。
全体像を示すと分かりやすい
どうして子どもたちは分かるのか。その理由は、情報の順序にあります。
《もんだい2》の問題文は、一文目で全体像を示しています。
登場人物が2人いて…合わせてアメだまを13個もっている。その状況をはじめに説明しています。
その上で、なおくんは4個もっている細かい部分を伝える。大枠から細部に情報が進んでいます。
一方、《もんだい1》の問題文は違います。
なおくんが出て4個。そしてはるくんが現れて、ふたりが合わせたアメだまのかずは13こと追記しています。この状況の変化に、低学年の子は対応できないことが多いのです。
もしお子さんが文章題でつまずいた場合、まず、その内容の全体が分かるように状況を説明してあげるといいでしょう。
ぼくは、このセンテンツによる難易度の変化を考えるたびに、桃太郎のはじめの一文目を思い浮かべます。
「むかし、むかし…
あるところに、
おじいさんとおばあさんがいました。」
これって幼児の視点からみれば名文と言えそうですね。