言葉が遅れがちな息子ナオ。彼の週末の課題「日記」は、わが家の大仕事です。この一年間ほど、彼の作文に試行錯誤で手をかしてきました。その中で分かった「苦手な作文を楽しむ工夫」をまとめてみました。
「てのをが」はこれから小学二年生
少し息子ナオのことを書きます。ナオは言葉において少し遅れ気味です。日常的な会話はできますが、少し詳しい説明は難しい。ひらがな(特に拗音)は怪しいです。はじめて触れる文章の読みは詰まりますね。とはいえ、これでも長い年月のトレーニングの成果があってこの程度の遅れに留まっているって感じですね。
息子ナオへの過去の働きかけの記事
・『発達遅れが気になる4才の息子のこと』13/03
・『楽しく名詞を身につける5才息子への働きかけ』13/06
しかし…「作文」について、もう察しがつくかもしれません。苦手です。週末の日記は一人じゃ難しい。それでいつの間にやらぼくが彼の日記に手をかすのは週末の恒例となりました。
これから紹介する「苦手な作文を楽しむ工夫」は基本“苦手だけど楽しんでいるよ”というものです。苦手な部分をサポートして『日記って楽しいなぁ』と思えれば、それでいいじゃない。楽しんでなんぼでしょ!ってノリです。そういうわけで1つ1つ説明したいと思います。
出来事を話してメモをとる-工夫1
「日記を書こう」と言うと、後先をなにも考えずに書き出すのが子どもの常。行き当りばったりは袋小路に陥り、終いには書くのが嫌になる。息子はよくありました。
そこで文を書く前に、(基本ですが)話を整理する。ぼくは息子に何があったのかを話してもらい、その彼の言葉をぼくがメモをとってます。
うわっ!面倒…と思う方もいるかもしれません。でもいきなり書くよりポツポツ話すはずっと楽ですよ。文をつくる第一歩って感じで捉えています。
写真・絵を使ってイメージを膨らませる・文を補足する-工夫2
(上の画像:レシートを貼ってお買いもの話を説明してます)
息子の優先知覚は「視覚」。これを生かして、イメージできる視覚物(写真・パンフレット・地図など)を使ってイメージを膨らませてます。それに留めず日記に貼ってコメントをつけたりも。
例えば、先日は「スイカをおとして探したこと」を書きました。そこで日記に地図(グーグルマップ)を貼り、探した経路を文章を交えて書きました。このときは彼も頭の中が整理されたのか筆もスムーズでした。
このように表現しにくいことを視覚物で補足する。自分の苦手分野を、得意分野でフォローしています。
本人に言葉を選ばせる-工夫3
息子の言葉は限られています。誤用もあります。書いた後に誤りを訂正されるとイライラします。それは避けたい。
そこでぼくは文を書くとき、それと似た表現を紹介してます。例えば息子が「料理してみました」と口頭でいえば、
「いいね。それ以外にも『料理にチャレンジしました』とか『料理をしたんです!』もあるよ」
と紹介します。そこで本人がしっくりきたものを選んでもらう。日記を書くなかで、文章表現をそれとなく学ばせています。「表現を正す」より「表現を広げる」方向へと意識しています。
知ったら使ってみる-工夫4
文章作成のルール。学校で習うのは、句読点・段落一マス下げ・会話「」でしょう。それ以外で書くために必要になったルールはできる範囲で教えています。
例えば、先に出た『スイカをおとして探したこと』では、スイカを「Suica」と書きたいと言いました。(落としたのは「スイカ」ではなく「Suica」だからでしょう)
この時、アルファベットは横倒し書くこと、そしてその送り仮名(スイカ)をつけことを教えました。もちろん本人はご満悦。そのほかにも、知らない漢字が出てきたら書かせています。
よく子どもたちが「習った=使っていい・習ってない=使っていけない」があります。これってよくない。知ったら、使ってみる。すぐ試してみる。そっちの方が子どもだって学び甲斐がります。
まとめ
苦手な日記への工夫は、こんな感じです。週末にのらりくらりとやっていますが、今のところ息子は楽しそうに日記に取組んでいます。1ページ分の日記を、3ページまで延長して書いたこともありました。
そしてまとめて振り返ってみて、気づいたことがありました。工夫1〜3は「弱みから生じる障害」を消しているだけですね。
工夫 | 行動の障害 | 工夫の種類 |
出来事のメモ | 情報を捉えられない | 弱みをフォロー |
視覚物の利用 | 情報を捉えられない | 強みで代用 |
別表現の提示 | 表現の少なさ・誤用 | 弱みをフォロー |
新知識を使う |
もし「行動の障害」を消したことで、彼が日記を楽しめたのであれば興味深いです。
「苦手(弱み)だから、作文が楽しめない」のではなく「苦手(弱み)だから、行動の障害が発生してしまい、作文が楽しめない」と言える
行動の障害さえうまく乗りこえられたら、苦手であっても楽しめる可能性はあります。
作文はぼくの専門外ですが、これからも作文を楽しむ工夫を続けてみます。そしてまた記事で報告します。
文中に紹介した息子ナオへの過去の働きかけは以下の記事
・『発達遅れが気になる4才の息子のこと』13/03
・『楽しく名詞を身につける5才息子への働きかけ』13/06