「どんなに言い聞かせても、ほとんど耳をかさない。」これは目的志向のつよい子をもつ親御さんたち共通の悩みかもしれません。そんな目的志向のわが子にどのように伝えれば届くのか?僕個人の指導経験の中で目的志向の子に行っている伝え方の工夫を書いてみました。
■何度言っても聞き入れない
「目的志向」という言葉のイメージは、とても明るくて、前向きに受け取れます。少しの失敗では挫けずに、次々にチャレンジしていく。そんなはつらつな印象を受けます。
たしかに目的志向の子は明るく前向きです。また目標を立てて、夢を語ることが大好きです。隣にいるとこっちまで明るくなる特別なパワーを備えています。
しかし、目的志向のお子さんをもつ親御さんたちには共通の悩みがあります。たとえば以下のようなものです。
・目標を立て夢を語るのはいいが、それへの努力が足りない。
・問題点を解決せず、新しいものに移るため成果が実らない。
・慎重になりなさい!と言ってもそれを聞いたためしがない。
算数数学の指導においても、目的志向の子への対応はそう簡単にはいきません。それは算数数学という教科が、目的を達成することとは反対の“問題解決志向”だからです。そのため「〜すれば間違えないよ」と言っても、目的志向の子たちは聞いいれてくれないこともあります。
では、どのようなアドバイスが彼らに聞き入れてもらえるのか?その工夫を紹介します。
■目的志向のことばに変える。
彼らに聞き入れてもらえない一番の理由は、それが問題解決のことばを使っているからです。
例えば「ミスしなければこんな酷い点数にはならなかったのに。」という助言があります。ここには「ミス」「酷い点数」「〜ならなかった」が問題解決志向のことばです。
このアドバイスに目的志向の子は納得しません。もちろん事実は分かっても、それを心から受け入れようとはしないのです。
目的志向の子は、常に次への目的を探しています。目的が出来て心がはずみます。ですからこのような指摘も新しい目的に変換してあげればいいのです。前の例を目的志向のことばに変換すれば
「計算の精度がさらに上がれば、
もっといい点数に到達できるね。」
となるでしょう。
「ミスで点を落とした」という失敗を、「計算の精度をあげる」という目標に変える。「こんな点数にならなかった」という問題点を、「もっといい点数に到達できる」という夢に変える。
視点を変えた言い回し1つで目的志向の子はそれを快く受け入れて、計算ミスを劇的に減らすこともあります。
■また、自分に合った解釈力も育む
またこのような子どもの志向性にあわせたことば使いは、子ども自身で解釈力(リフレーミングの力)も育むことができます。問題ミスをそれまで蔑ろにしていた子が『計算精度を上げて、もっと点数はあげよう!』と自分で考えて、ミスを防ぐ対策を考え始めることもあるのです。
これはほんの些細なことばの工夫にすぎません。しかしそこには“子どものより良い変化を生み出す無限の可能性がある”と僕は思います。
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