かけ算は九九を覚えれば簡単!と誤解されがち。かけ算はたし算・ひき算と全く違った考え方で、多くの子が概念を正しく身につけず九九だけ覚えて安心します。かけ算の正しい概念とは何か。このページでは、かけ算の誤た概念と正しい概念、その身につけ方について説明します。
お子さんと一緒に勉強しているあなたが、こんな問題を見たとしましょう。
[問題]みかんが4つずつ袋に入っていたら、その袋が3袋あれば全ての個数はいくつですか。4×3=12個
この計算に異論はないと思います。しかしここで子どもがあなたに尋ねます。
「4+4+4=12個でもいい?」
これでも答は同じですね。
「それでもいいわ」
とあなたは答えます。すると子どもは不思議がってこう尋ねるかもしれません。
「じゃ、なんでたし算でできることを、わざわざかけ算でするの?」
こんな素朴な疑問を投げかけるでしょう。
なぜかけ算でするのか?困難な疑問
あなたは必死に考えるかもしれません。そしてやっとそれらしい答に気づきます。
「それはたし算だと計算が大変だからよ。かけ算だと一瞬で答えられるの。」
そしてさらにこう付け加えます。
「それにこれが23袋あると、たし算だと大変でしょ。ずっとたし算をしなきゃいけないわ。でもかけ算なら楽。かけ算は何回加えるかってことだからよ。分かった?」
「わかった。かけ算ってすごいね!」
23袋という膨大な数をまえに、かけ算というのはたし算の回数なんだ、と子どもは納得するはずです。しかし実はこのかけ算の認識(かけ算はたし算の簡略算)は誤りです。
5年生のかけ算かけ算はたし算の簡単計算と思ったお子さんが、小数の単元でこんな問題に出あいます。
1mが6gの針金があります。この針金を4.3m用意するとき、重さは何gですか。
この式は6×4.3。この問題で子どもたちは。
「6gを4.3回たす・・・ってどういうこと?」
それまで整数のかけ算で“かけ算は~回足すもの”と理解してきた子に、これは到底理解できないことです。
考えてみて下さい。0.3回分足すとはどういうことでしょうか。足すのを途中で止めるということでしょうか。もちろん、そんな回数表現はありません。つまりかけ算はたし算の簡易計算ではないのです。
実はこのかけ算の誤解こそ、先々のかけ算の本質的から遠く離れてしまう原因です。
だから子ども達は後々に小数のかけ算で答が小さくなることを不可解に思います。分数の計算で分母と分子をひっくり返す理由も分からない。割合が小難しく感じる。
その分からないの原因の源は、かけ算の誤解にあるのです。では、このかけ算は一体どんな計算なのでしょうか?