息子に宛てた僕の手紙(外部ブログ:拝啓ヤイチ様)の中で、わが家のあり方をよく伝えたものがありました。
手紙3枚をそのまま転載します。ご覧になってください。
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■はいけい やいちさま
「赤ちゃんモデルやれば?ってまた言われちゃった」
と嬉しそうにいったのはお母さん。
お父さんはパソコンをいじりながら、ふぅーん、と応えました。
外に出れば、何かと声をかけられるヤイチ。
みんな口をそろえたように
「可愛い子ね!赤ちゃんモデルできるわよ!」といいます。
お父さんは、ははは・・・と笑いながら、
そりゃ赤ちゃんだもんなぁ~皆可愛いもんな、と思いながらも、
多少、社交辞令っていうのもあるかもなぁ~なんて思うんです。
断っておきますが、お父さんからみれば、ヤイチは世界一可愛いです。
しかしそれはヤイチのお父さんだから。
多少、視神経が壊れていて少し可愛いものが、10倍、100倍に可愛く見えるものです。
だから可愛い可愛いといわれると、
「え?それ本音なの?」なんて寧ろ疑いたくなる。
変だよねぇ~お父さんって。
それでね。
お父さんとお母さんは少し話をして決めました。
1回だけ投稿してみよう!笑
赤ちゃんモデルの投稿なんて、こんな流れなんだろうね。
みんなその気になっちゃうみたいな。
みんなの言葉が社交辞令か否かそれを明らかにする上でも。
まぁ駄目だったね!という答も楽しみの一つとしても。
というわけで、赤ちゃん読者モデルに投稿しました。
夢は大きく全国誌。
「こりゃ大変な倍率だよ」
「いいじゃん。夢は大きいほうがいいし」
まぁ投稿したらそれで2人とも満足。
鼻っから雑誌に載るわが子を夢見ず。
<応募しました。いい思い出になりました。。。>
で終わる。
手はずだったのですが・・・
これが意外な展開になってしまいました。
この続きはまた書きます。
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■はいけい やいちさま
こんばんは。お元気ですか?
先日書いた、赤ちゃんモデルの続きです。
赤ちゃんモデルに投稿したお父さんとお母さん。
投稿してそれで気が済んだのか、
そのモデルのことをすっかり忘れていました。
そもそもモデルっちゅーのは、りょうさんちのジュニアみたいなハーフのような可愛らしさ。
これがなければ難しい!と思っているんです。
ヤイチは…うーん、、純日本系?
だからね。
到底、無理だと思っていたのです。
あの電話がなる直前まで。
あの電話がなったのは、3人でブランチを食べているときでした。
場所は安いチェーンの飲食店。
店内に客は1名と店員1名、そして我々家族、3名。
安いチェーン店ので、さらに安い飯を探したお父さんは、その安い飯をヤイチに分けていました。
「きみ、食うなぁ~!(店員さんに向かって)すみません!冷奴もください!」
と100円の追加注文をする始末。
そしてお母さんの携帯が鳴りました。
どうせ、仕事の電話だろう・・と思いながら、お母さんは電話に出ました。
しかしいつもの電話の対応と違う様子。
お母さん 「ニヤリ」
いつもになく丁寧な電話対応。
声も少し奥様ぶっている?
そして暫くすると、困った表情になりました。
なんだろう?
そして電話口を押さえてお父さんに嬉しそうに言いました。
「ヤイチの赤ちゃんモデルの件の電話なの。」
「え?モデル?」
「モデル撮影を依頼されちゃった」
「え!本当に?!」
とても驚きました。
まさか依頼が来るだなんて全く思わなかったのです。
だって…あれって、投稿して完了だったし…。
それで終わったものだったのです。
しかも話を聞くと特集のページでの撮影。
わが息子が、全国赤ちゃん雑誌の特集ページになる。
田舎の出のお父さんお母さんはビビリました。
<全国雑誌にわが子が特集>
信じられない。
特集ページを飾るであろう赤ちゃんは必死に「冷奴をよこせ!」と訴えていました。
この冷奴星人が…
全国雑誌の赤ちゃんモデル?
お父さんはヤイチに恐れ多くなりました。
うちのヤイチじゃなくて、うちの赤モデル?な気分。
もちろん、撮影はOK!OK!
こんなチャンス逃すわけにはいきません。
しかし、問題はその次でした。
その続きはまたこんど。
じゃぁね。
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■はいけい やいちさま
こんにちは。
続けて赤ちゃんモデルの話の続きです。
赤ちゃんモデルの依頼の電話を受けたヤイチ。
我が家から「赤ちゃんモデル」が出るなんてこれは奇跡でしょうか。
お父さんは嬉しくて仕方ありません。
しかし、お母さんは心配そうに言いました。
「でもね。その撮影が7月×日なの」
「おぉ、行けばいいじゃん!」
「だってその日、仕事の締切なの。」
「えぇ!!!!!」
「雑誌の撮影もその日だけ。カメラマンさんを押さえているみたいで…」
うーん、と少し考えるお父さん。
「でもさ、早めに仕事を終わらせれば行けるんじゃない?」
「それが難しいのよ。分量が多いし…あなたはどうなのその日?」
受話器口を押さえながら、
お母さんは尋ねました。
お父さんは暫く考え、
「その日は(仕事は)入っている」
と困った表情で言いました。
どうしよう…2人は悩みました。
全国デビューなんて…こんなチャンス2度とありません。
仕事はいつでもできるけれど、
赤ちゃんモデルのチャンスってこれからあるかどうか。
お父さんは、そのとき、映画のワンシーンを思い出しました。
その映画は「チャーリーとチョコレート工場」。
金のチケットを当てたチャーリーが、
家族みんなにこのチケットを売って生活費にする、と告げるシーンです。
それを聞いておじいちゃんがチャーリーを諭すのです。
「金は毎日印刷されて、世の中にでまわっとる。
だが金のチケットは-
世界にたったの5枚しかない。
二度とてに入らん。
それをあっさり金に
替えるのはトンマじゃ。」
そしてお爺ちゃんはじっと見つめながら言うんです。
そしてチャーリーはまっすぐな目をして応えます。
そ、そうだ。
仕事はいつでもできるんだ。
少し休んだって全然問題ない。
私用です、とお休みを願いいればいい。
ここあるのは金のチケット。
それを手放すことがどれほど愚かか。
愚かすぎる。
わが子の晴れ姿の夢みない親がどこにいるものか。
電話で繋がっている編集者に、すぐに回答しなければなりません。
お父さんは深く悩みぬき、そして決断しました。
そしてお母さんに言いました。
「モデルの件は断ろう。残念だけれど」
最後に出した決断は、金のチケットをとらない、でした。それは苦渋の決断でした。
お母さんは「そうね」と少しがっかりした表情でしたが、同意してくれました。
まさか、の結末。
ヤイチのお父さんお母さんは、きみの晴れ姿よりも仕事をとりました。
もしかしたら世間は、馬鹿だ、愚かだ、トンマだ、というかもしれません。
なんらか適当なことを言えば、バレルことなくずる休みぐらいできるでしょう。
でもねお父さんは思ったんです。
今ここにある幸せな生活は、誰のおかげか?ってね。
こうやって家族揃って楽しくご飯を食べれる幸せ。
それは、我々を信頼して仕事の機会を与えてくれた人たちのおかげなんだよね。
それをおもうと、赤モデはもちろん嬉しいけれど、このために仕事(信頼)を裏切るなんてできない。
これはね、どっちがいいかの損得の問題じゃないんだ。いいかい?
たとえトンマであっても、間違っていてもいい。
我々は人としての道理を貫く。
ただそれだけなんだよ。。
赤モデはご縁があればまたやってくる。
それがやってこなくても、人の存在を大切にしてきた我が家を神様はきっと見捨てはしないと思う。
今回の件、ヤイチがこれをどう感じるだろうか…と思いました。
その日、お母さんはずっと「あぁ惜しいことしたね…」と残念がっていました。
お父さんも同じ気持ちです。
でも後悔はしていません。
また、機会があったら応募しようね。
ヤイチ、今回は本当に申し訳なかった。