子どもたちが必死に暗記する単位。暗記してしまえば簡単!と思われますが、それで単位が分かるほど簡単じゃありません。単位の難しさはもっと別なところ。このページでは、子どもが単位で躓く箇所とその教え方をお伝えします。
算数で必ず押さえるべき項目は「単位」です。数は、単位なくして存在の意味すら分かりません。
しかし私たちは単位がもつ不可解さに、あまり気づいていません。量は大きくなれば、数も大きくなりますが、単位が変わると必ずしもそうじゃありません。
「小さいのに大きいの?」単位の難しさ-その1
たとえばです。「5と100はどっちが大きい?」と聞かれればそれは“100が大きい”と答えられます。数の大小で判断ができます。しかし
「1kgと100gだとどっちが大きい?」
こうなると、1kgが大きいはずです。大人からみればなんでもないことですが、一部の子どもにとってこれはショッキングな事件です。1と100だと100の方が大きいのに?1が大きくなるってこういうこと?これまで習ってきた数の大小の大前提が、ここでは覆されるからです。
「覚えられない!」単位の難しさ-その2
単位の存在を理解できても、その表示の多さに子どもは悩まされます。『100cm=1mで…1000m=1kmで…えっと100㎜が1cmだったっけ?分からないなぁ…』と単位の学習では覚えることが多いと思われています。小学校4年生になると小数も学習するので、ますます単位嫌いになる子が多いです。
では、どのように教えればいいのでしょうか?
この単位の指導ポイントはたくさんありますが、重要かつ簡単に教えられるポイントを2つご紹介します。
1.なぜ単位が必要なのか?そこから考える
単位学習の出発点は、単位が存在する理由です。
「重さを表す単位だったらグラムだけでいいのに、どうしてわざわざkg(キログラム)やt(トン)をつくったのかな?」
これをみんなで一緒に考えてみてもいいと思います。
車の重さをgで表示したりすれば、その0の多さに子どもは驚くでしょう。要は、数字の並びが多くなると、数の大きさの比較が難しい…。
もし…だったら?という仮説は子どもの想像力を大いにかきたてます。ぜひ、試してみてください。
2.十進法・60進法の理解
子どもからみれば「時間」ほど不可解なものはないでしょう。他の単位は10進法(10集まると次の位に上がるしくみ)なのに、時間だけは60分で1時間といった60進法で繰り上がります。これが子どもにはどうも腑に落ちない。
それだけではありません。時間がかかわる速さの問題を解く際、60進法の時間を10進法に単位変化します。1時間45分だったら、1.75時間といった感じに変えて計算するのです。これは『なんで?』と不思議に思わないはずありません。(この説明はまた別の機会に)
10集まって60集まっての単位のルール。これを意識的に区別する。ここがこの単位の大切なところです。時計の学習の際は円盤時計を置いておくことをお勧めします。
3.単位の仕組をよく眺める
単位は覚えるべきもの!というイメージがあります。確かに覚えることは必要です。でも闇雲に暗記するものでは決してありません。
単位というのは人が作ったものです。k(キロ)はギリシャ語で1000を意味する言葉だそうです。ということは、kmいうのは?mを1000したもの…1mが千個分だ!というのは察しがつきます。
このように言葉の背景を理解すれば、記憶の定着は極めていいです。「haのhは?」「mmのmは?」を
次々に調べてみてください。親子で納得できると思います。
数の歴史的な取決めが今に続いているそんなロマンも、算数ならではの醍醐味だとおもいます。