子供たちはゲームが大好き。「最近、何しているの?」ときくと、夢中になっているゲームの話。ぼくはこのゲームに大きな可能性を感じています。
勉強ができない状況
「どうしたの?元気ないね」
子どものはっきりとしない表情をみて、ぼくは言いました。
「部活が3時間あって…疲れて、さっきまで寝ていました」
つまり、部活動⇒疲れた⇒うたた寝⇒私と勉強、ということらしいです。このような状況で勉強をするというのは、とても大変です。昔は子供を起こすつもりで、声を張り上げることも度々ありました。しかしこのところ。こんな状況で別な行動をとることにしました。
五目しよう
おもむろにバックからグリッドの紙をとり出す私。そして子供の前にそっと置きます。子供は、何のことか分からない。そしてぼくは笑顔で、
「5目並べしよう」
と誘う。
五目並べとは、ご存知の通り碁盤を使ったゲームです。私は碁盤を使わずに、それを方眼紙を使ってやろうと言うのです。もちろん初めての子供は驚きます。
「勉強は?」
「するよ。五目並べが終わったらね!」
「は…い」
「勝負は3回。いいね?」
「は、はい…」
そして赤色鉛筆と黒の鉛筆を方眼に、書き込んで始めるのです。実はこれ。授業のウォーミングアップです。
統計で見えたゲームの力
「高い授業料を払っているのに、五目並べを始めるとは!」
と不愉快に感じる方いると思います。確かに貴重な授業時間を5目並べに費やすことに、ぼくもはじめのころ罪悪感がありました。
しかし、この5目並べのゲーム効果を検証。すると驚くべき事実が判明。それがこれです。
ゲームの後の質問
この五目並べを終えた後に、子供に尋ねてみました。
【質問1】今、眠いですか?
7人中6人が「いいえ」と回答。
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この後に、授業を行います。そして授業の最後にもう一度、質問します。
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【質問2】授業に集中できましたか?
7人中5人が「はい」と回答。
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この結果、すごいですね。この7人は、主に中学生。はじめ授業に集中するどころか、眠たくて授業を受けることすら難しい状況でした。
しかしこの子たち。たった3試合の五目並べで一気に目が覚める。それは授業終了まで続きました。これ子供たちがウソついたんじゃ?と思いたくなりますが、みんな本当に素直な子なので考えにくいです。
眠気が覚めた2つのワケ
子供たちが眠気が吹き飛んだ理由をぼくは2つ考えました。
1つ目は、親和感。
これは子供の気持ちを配慮し、ゲームを行うことで私に対する親和感が生まれたからだと思います。このような些細な出来事で、互いの信頼関係はさらに良くなります。
そして2つ目は、ゲームの持つ刺激。
これがとても大きいですね。どんなに疲れていても、脳は意外にタフです。
少し面白い刺激があれば、すぐに「どれどれ」とムクット布団から起きてきます。
脳は眠らない
このゲームの持つ刺激性というのは、脳にとって強化注射みたいなものです。
五目並べでで刺激が起こり、勝った、負けたで更なる刺激が起こる。
一度、脳は興奮状態になると、今度はなかなか眠れなくなります。
ですから残りの1時間50分。
7人中5人が授業に集中できた!となったのです。長い2時間という授業。スポーツでもウォーミングアップがあるように、学習にも緩急をつけることは重要だと思います。