この2、3年、ぼくがずっと考えている「手書き」。本番組で「やっぱり手書きの方がいいじゃないか!」と確信。そして自分が提唱していたことを再確認できました。
長年、子どもたちを教えてきた中で、特にこの数年間、子供たちの学力低下をリアルに感じてきました。
おそらくその原因は、昔に比べて“便利さ”が及ぼす「誘惑の多さ(集中時間の喪失)」と「書く機会の消失」にあると思っています。
そんなときNHKオンデマンドでクローズアップ現代「最近、手書きしていますか?」を試聴しました。
試聴5分後
やっぱりだ!
試聴期限の最終日には番組を停めながらメモを必死に取りました。もちろん、手書きです。
その番組の内容を紹介しながら、ぼくが考えたことを書きます。
世界の流れは「デジタルからアナログへ」
スウェーデンの例
世界に先駆けてデジタル化を推進。しかし23年から「本・紙・鉛筆」といった手書きへとシフトしていきます。理由は子供たちの読解力の低下でした。
教育関係者の説明
「デジタルツールを使うと言葉を発達される機会を失う。なぜなら、プログラム自体が文書を整えてしまうから」
やっぱりデジタルより紙ですね。
誤った表現を自動修正すると、子供たちは言葉遣いへの気配りをしなくなります。習得機会を手に入れないままとなります。
アメリカの例
半数の州が手書きが必要となる筆記体の授業を義務化。それには2つの側面があるそうです。
1学力低下の問題
カルフォルニア州の学校では、手書きの時間を増やしたら国語の学力向上につながったそうです。6年生の国語の成績が標準以上の子の割合が18%→46%になりました。
2文化的な問題
子供たちが筆記体で書かれた歴史的な文書(アメリカ合衆国憲法・独立宣言など)が読めない。国民としてあってはならないと考えている。
手書きにするだけで18%から46%は大きいですね。番組の中でネイティブの子どもが筆記体の「fork」が読めないとき驚きました。
手書きの効果を科学的に研究されている兵庫教育大学の准教授の説明
書く時の脳への刺激
| 時間感覚 | リズム・間 |
| 視覚 | 文字の形・配置 |
| 聴覚 | 音韻・ペンの走る音 |
| 運動 | 指先や手の動き |
| 触覚 | 紙の感触・筆圧 |
これらの刺激を脳で統合的に処理する。それが脳を活性化して記憶を促す。ひいては思考力の向上につながる。
こんなにいろんな刺激を使っているんだと驚きました。ぼくも去年、脳をしっかり使おう!と記事で書きました。
番組の中でも単語のスペルを書くことについて紹介していました。
スペルを書くことは、意味を体で覚えることにつながり、読む時に単語の意味を自動的に認識できる。それで文章全体の理解もスムーズになるそうです。
昔は当たり前のことが、脳には良かったわけです。
MRIで脳の活動を分析したら「手帳が記憶に有利」
実験の紹介もありました。
スマホに文字入力・タブレットにペンで書く・手帳に書く。この3つの動作による脳の活動をMRIで分析すると、記憶の面では手帳の手書きが有利なんだそうです。
理由は「紙の方が思い出す手がかりが多い」からです。
デジタルでは画面を上下するので、文字の位置が変わります。一方、ノートは文字の位置は固定されます。それが記憶の助けになるそうです。
たしかに。学習でも「参考書は1冊を使い続ける」「問題演習はノート1冊に絞る」という原則があります。そうすることで記憶がリピートされて、理解がより深まるのです。
そして番組の中の東京大学の酒井教授のことばをご紹介。
我々はそのことだけを思い出すのではなく、その周りにあるエピソード・体験などを一緒に引き出すことによってより豊富な再現ができる。
紙の手帳は強力なツールになりうる。
日常生活を振り返ると、たしかにそうですよね。それは学習においても言えることです。単に情報を与えればいいわけではありません。
算数・数学でもそうです。
自分で手を動かして考えてみる。間違えたら「なんでだ?」と自分でじっくり考えなおす。そういう過程を経て理解は深まります。
番組を試聴後、ぼくの中で生まれてきた「学習観の再確認」
この番組は、ぼくにいろんなことを気づかせてくれました。
これからの時代の学習サービスは「脳への貢献」なんだと。
今、デバイスを通してAIに訪ねればなんでも解決できます。ぼくに聞くより早いですよ。
でもそれで従来の子供たちの教育が「問題を考えて解く」という世界から「問題をAIに投げて解説を聞く」という世界に足を踏み入れだしてます。
子供たちは静かに「思考する体験」を奪われていて、最近は「自分で考える」という言葉の意味すら通じない子まで出てきました。
これはまずい。
だから一緒に考える練習をしなければならないと思っています。
文章を読んで、情報を図解して整理し、自分の目でロジックを発見する。そして答えを導く。
今、子どもたちの学力成長において大切なことだと思います。
20年前、ぼくが強く提唱していたことでしたが…最近、ちょっと忘れていました。
気を引き締めたいと思います。
