先行学習が失敗しやすい理由

その代わりに「自立した丁寧な学習習慣」をすすめします。

学習相談がありました。

小学6年生はじめのときに「中学数学の予習」ができるかどうか。

ぼくは「(授業機会がとれるかどうかの話は別として)教えることはできる」と回答しました。

5年生なら一応、四則計算も終えています。6年生でならう「比例式・比例/反比例」も数学の中で教えればいいでしょう。

でも改めて考えてみると…。

これ、教えることは可能だけど、成果は厳しいよなぁ

となりました。この先行学習が難しい理由は3つです。

  • 小学6年時に算数と数学が混在してしまい、数学への理解が深まらない。
  • 復習が疎かになり、これまた理解が深まらない。
  • モチベーションが持続しない

ひとつひとつ説明します。

小学6年時に算数と数学が混在してしまい、数学への理解が深まらない。

まず算数と数学は似て非なるものです。数学の世界では、算数の認識を改めて(強くいえば捨て去って)考えなければなりません。

算数と数学の解き方の違い
三角形の内角を解く問題「△ABCで角A が45°で、角Bが60°。角Cは何度か?」

【算数で解く】
式180-(45+60)=180-105=75
答.75°

【数学で解く】
∠C=xとおく
x+45+60=180
x=75
∴∠C=75

しかし学校で算数を習いながら、その一方で数学を学習すると、数学の問題を算数で解き始めるのです。

算数とお別れをした中学1年生の時点でも、(どの子も)数学的な考え方を理解することが難しい。

まして小学校で算数を習っている最中に、数学的な考え方を身につけるのは難しいでしょう。

復習が疎かになり、これまた理解が深まらない。

数の世界は高度かつ抽象的になります。まず1回習っただけで理解できることは極めて稀です。

そしてなんとか理解できた。ここがスタートラインです。

復習をしなければ理解したことは、次第に消えます。ですから習ったあとの復習が不可欠なんでです。

先行学習は、この復習管理がとても大変です。それで復習が疎かになり理解が深まらない(消える)ていまうのです。

モチベーションが持続しない

数学が好きでたまらない!という子であれば、先行学習は意義があります。しかしそうではない子ならまずモチベーションが続きません。

先行学習は、まわりと違ったことをやるわけです。それは孤独な戦いです。自分が楽しめないなら、身につけることも難しい。

また「先を学ぶ」という意義も弱いのです。多少、学習(復習)をサボっても、今の学習についていけないわけではありません。「どうせ後で習うんだし」という気持ちの緩みがでてきます。

こういったことが重なって、モチベーションが続かないんです。後回しになり、学習をやめてしまいます。


ということです。

先行学習がまったく無意味だとは言いません。ただやはり求める成果に対して、実際に手にできるものはあまりに少ないです。

これが先行学習が失敗しやすい理由です。


では、先々の学習不安にたいして、今、なにができるか?

ぼくがご家庭に対してご提案したいのは「自立した丁寧な学習習慣」をつくることです。

まず目先の点数に一喜一憂しない。←超大事です。

「学ぶべき意義」をもち、毎日の学習を丁寧に行うように努める。

それができればいいと思います。

ここが1年、2年後、大きな成果となって現れます。人生を変えると思います。