図形の問題はその難易度に関わらず、必ず心がけなければならないことがあります。以前、問題解決志向としてご紹介しましたが、今回は問題を扱いながら解説していきます。
気をつける3点
結論から書きます。算数の図形問題が不得意な子は、以下の3点を徹底して取組めばいいでしょう。
- 何が分かればいいか?考える。
- 条件をかく
- 法則をさがす
これだけ徹底して心がければ、算数の図形問題は解けるようになってきます。いや、むしろ心がけていないから、たくさん図形問題を解いても解けないわけで。では、さっそく問題を扱っていきましょう。
問いは何だろう?
問題:1辺の長さが6cmの正方形ABCDがある。AE=BF=CG=DH=1cmのとき中にできた正方形XYZVの面積は正方形ABCDの何倍ですか。
正方形の中に正方形がある。中の正方形は外の正方形の何倍?という問題です。この時点で「分からない」と投げ出す子います。そういう子には「ここで分かったら天才数学者か、神だよ」と言ってます。さて、もう一度。
問題は何倍か?と尋ねています。ここで気をつけるべき1つ目。
何が分かればいいか?
何倍か…と言うの答えを出すために、何が分かればいいのでしょう。2つあります。
- それぞれの図形の面積
- それぞれの図形の面積比
これが分かれば何倍か分かります。つまりそれぞれの面積か面積比を求めることでこの問題は解決します。
じゃ、面積や面積比を出すためには何が分かればいいか?
- 図形の長さ
- 図形の長さの比
これだけです。だからここから長さの比を求めていくことを目標にします。
条件の長さをかく
さて、次の気をつけること「条件を書き込む」です。そして丁寧に条件を書き込んでいきましょう。
見えやすさを優先させて端折っています。ここで考えるというか、眺めるわけです。ここで不得意な子が気をつける3つめです。
法則をさがす。
法則を探すといっても、ただ眺めてもダメ。相似はないか、合同はないか、平行はないか…と具体的な着眼点をもって見ていきます。すると
- 「同じ三角形が4つある」
- 「ピラミッド型の相似な三角形がある」
に気づきます。図形問題が不得意な子ほど、このような発見を「当たり前のことだ」と軽視します。ここから問題ははじまるのですが。
相似な図形に注目する
ここにピラミッド型の相似な図形があります。相似を見つけたら、どんどん分かる情報を記入していきます。相似比から比を書き込めます。
相似な図形の長さから、①対⑤が分かりました。相似に関して、まだ書き込めますがこれくらいで。次に合同な三角形がありました。そこに注目してみましょう。
合同な図形に注目する
合同だ!という条件に目を向けると、ここでBYが①ということが分かります。
「こんなの…つかわないよ」
と子どもたちは言いますね。使うか?使わないか?なんて考えない。とりあえず書き込むことが大事です。
また、角AYBも直角に見える。これも書き込みましょう。なんで直角になるか?それは三角形ABYと三角形AYBが合同だからなのですが、まぁここは直観でわかりますね。
ここぐらいまで長さが分かれば、面積がでると思います。
内の正方形の面積比を求める
正方形XYZVは辺の長さが同じです。ここで横の長さも⑤と分かります。すると面積比が25と分かります。
外の正方形の面積比を求める
もう一方の正方形ABCDを求めていましょう。これは6cm×6cmと思いたくなります。でもこれは長さですね。中の正方形は比で求めましたので、ここも比で求めなければなりません。(この面積と面積比をごっちゃにしない。図形不得意な子たちに声を大にして言いたい)
では、どうすればいいか?
と眺めると、オレンジの三角形の面積の比は出そうです。そして同じ合同な図形が4つあります。それに中の正方形を加えれば、外側の正方形になります。
ここで大事なところは、オレンジの三角形の面積の比が出そうだ、と思ったのは、直角を記入したこと、BF=①を記入していたことによります。
「ここ使う?」と思っていても記入したことが、こういった発見の足がかりになります。だから分かったら書き込む。これを続けるのです。
面積比から倍の数を求める
倍の数を求めれば、終わりです。正方形ABCDの何倍か?と尋ねているので、正方形ABCDで割ってあげます。
すると答にたどり着くでしょう。
最後に
奇問以外の応用図形問題も、基本の組合せです。図形が不得意という子の多くは、能力的な問題より、動作の問題の方が大きいです。
やり方を見えていると「考える作業の準備段階」にすら行きついていないこともあります。
ですから図形の問題を取組む際は、はじめはノート1ページ使って丁寧に解く。この心がけだけで、だいぶ図形理解力/問題解決力は上がると思います。