このところ3つのご家庭から、どうすれば自主的に学習に取り組める習慣が身につきますか?という質問を受けました。それが即答できればいいのですが、それぞれの子で違いますので難しい。それについてちょっと詳しく書くことにしました。
「今日から毎日2時間、机に向かって勉強する!なんて子どもが約束しても、それがずっと守られたことはない。子どもと政治家の口はあてにならないんです。」
かつてそう仰る親御さんがいて、大笑いしたことがありました。みんなそうだったのかもしれませんね。そういえば、テレビに夢中になるぼくをみて
「勉強しなさい」
「えぇ!後でやる…(テレビを観る)」
このやりとりってありました。
親はこのような子どもの様子をみて『子どもの学習意識が低いから、勉強へ移れない』と思ってしまいがちです。そこで子どもの学習意識を高めるために、2時間に及ぶ説得をおこなう。そして“テレビは8時まで!それからは勉強!”というルールを決める。(ここで子どもに了解を迫る!)
子どもは「うん!やる!ぼくがんばる!」と言うけれど、それでは3日と持たない。ぼくの身近でも、その働きかけで1ヶ月続いた例は残念ながらまだありません。
子どもが続かない問題はなにか?
子どもが学習を続ける上で学習意識の高低はさほど問題にならない、とぼくは思ってます。なぜなら学習意識が高くても続かない子はいますし、学習意識が低くても習慣化されている子もいます。「習慣」は、そこに複雑な意思決定がないから習慣となりえている。
だから習慣化を考えるなら「習慣として行動に移れていないのはなぜか?」そのような心理的な要因を深く探っていった方が、成功の解決の確率は高くなるはずです。
子どもの特性と置かれている環境。この2つに解決の鍵があるとおもいます。学習習慣を考えるための具体的な働きかけは4つです。
【学習習慣を考えるための働きかけ】
- すべきことの量を減らす。
- 行動阻害の因子を排除する。
- 他の行動とセットで組む。
- 環境を変える。
「すべきことの量を減らす」は、言わば学習量だったり、学習時間だったりします。すぐにできる工夫ですが、量を減らせば成果も下がりますので、まぁ適度にしなければなりません。
「行動阻害の因子を排除する。」は、行動そのものを阻害する具体的な因子を取り除くのです。勉強部屋に漫画があると手を伸ばしてしまうなら、漫画の存在が視界から無くせば解決できます。
具体策として、漫画がない部屋で勉強を行なう。漫画の棚にカーテンを敷く。漫画を捨てる。
が考えられます。冷静に因子をつまみ出すことが肝心です。
「他の行動とセットで組む。」は、うまく工夫ができれば強力です。ダイニングテーブルから手が届くところに日課の学習をおけば、食事を終えたらそのまま勉強する!という流れはそう難しくありません。
学校から帰ったら、まずランドセルの中身を全部出す、という習慣も、宿題を把握する上で大切なセット行動となります。人には必ず一定の流れがありますので、要はその流れにそって学習行為を組み入むのです。
『環境を変える。』は、シンプル且つ強力です。ただそれまでの流れを一変させるのです。学習塾に通うこともこれに当たります。部屋の雰囲気を変えるなどもあります。
ざっと書きました。
とにかく無理をせずに「流れ」をうまく作ること。子どもと相談しながらやっていければと思います。また時期をみてもっと例などを紹介できたらなぁと思います。