学習の効果について長年信じられてきた計算式があります。
それは以下の通りです。
学習の質×学習量=学習効果(成果)
この考え方は質の高い学習方法で、たくさんの学習量をこなせば効果があるというものです。これは会社組織でもパフォーマンスを上げるなんて言葉を変えて、使われる計算式です。
確かに質の高いものを量産できれば、優れた成果は得られるのは分かります。ただ、この考え方は機械であれば100%当てはまるが、人間においてはあまり意味がない式だと思うのです。
■単語を覚えた実験
実際、試したのです。ごく普通の覚え方で、ある男の子に短時間で単語を覚えてもらいました。そして同じような単語を別の日に、長時間でたくさん覚えてもらいました。
もちろん、覚えるのに長時間かけたときの方が覚える量は多かったです。しかし単語1つにかける覚える時間は明らかに長くなっていました。要するに1つの単語にかける学習の質は下がっていたのです。
■心がある。
まとめるとこういうことです。
質の高い学習を心がけても、量を上げれば質は下がる。学習効果は長丁場になれば上がらないということです。
機械ではこの計算式は通じるのに、人間だと意味を持たない。なぜ、質は下がるのでしょうか?なんてわざわざ問うまでもありませんね。機械にはないのに、人間にあるもの。それは「心」だからです。この計算式には全く「心」が考慮されていません。
■10時間勉強の内容は?
教え子たちから尋ねられることがあります。
「友達が休日に7時間勉強したというんだけれど、先生、どう思いますか?やっぱりこれぐらい勉強しなきゃいけないのですか?」
その度にこの様に話しています。
「そりゃ僕には分からないね。だからその友達に聞いてみたらどうだろう。7時間、何を勉強したの?そしてその中で何を学んだの?ってね。その答を聞いてから、自分で判断したらどうかな?」
結果的に聞いてみたら、何を勉強したかは言えましたが、何を学んだか?は全く出てこなかったそうです。そういうものなのです。
■計算式はいらない。
教える立場からいえば、このような学習成果の計算式を考えることはあってもいいでしょう。
しかし学ぶ立場からいえば、こんなバカバカしい計算式は必要はありません。
そして時間をかけて勉強!なんて思想は忘れ去るべきですね。これは百害あって一利無しなしです。その代わりに常に心にとどめておきたい問いがあります。
何を手に入れたか?
これだけでいいのです。
そこで出てきた答が学習成果です。