首都圏では1万6千人の子ども達が受験した公立中高一貫校。魅力あるお得な受験ではありますが、私は少し不安気味です。
その受験で失うものは何でしょうか?
《朝日新聞・09年》
「公立中高一貫校」の不安
09年上半期に朝日新聞の教育欄を賑わせたのは、この「公立の中高一貫」の話題でした。私立中学高校の一貫教育を公立の中学でも行おうと、近年、公立の中高一貫校の入試が行われるようになりました。公立中高一貫の魅力は「安い学費・伝統」です。
当然、受験倍率は軒並みに上がり、学習塾等でもこの試験対策講座を設けるところもありました。ただ、新しい形にはいくらか問題点もあり、私はこの公立中高一貫受験にはとても慎重です。その問題点はなんでしょうか。
中高一貫の受験の問題点
公立中学を視野に入れながら、ふと、このような公立中学受験が舞い込んでくると、うちも受けようかしら?と思う気持ちがあります。
受験すれば伝統ある進学校への進級できる権利が獲得できるからです。対策に余念がないご家庭もいますが、普段の学校の授業科目を疎かにするのはいささか問題だと思います。理由は以下の通りです。
(1)合格率が低すぎる
3~4倍ならまだしも7~8倍になると運の世界です。
受験には運の要素がつきものですが、この確率に勝負挑むのは問題だと思います。
(2)重要な学習時期
小学校高学年の単元は抽象なものに移ってきます。受験を始めると受験の問題演習ばかりが続き、じっくりと概念学習をする時間が短くなります。
受験計画は長い目で
早い時期に受験を体験させるのはメリットもありますが、別の視点から見ると失うものもあります。問題演習型の学習と成果主義の学習が、もの本質理解を見えなくしてしまいます。
ぼくは、この小学生の時期の概念形成にこだわるべきだと考えています。
なぜなら中学・高校の数学はこの概念がベースで理解がすすむからです。安い・伝統には惹かれますが、そのデメリットへも注意を向けるべきでしょう。