それは知的世界の広がり。
算数プリントを作り終えて、午後の授業の準備に入ることにしました。
高校生の試験前の特別授業「化学基礎のイオン化傾向」です。
クラウド内を「イオン化傾向」で検索すると、1本の動画がヒットしました。
なんだこれ?
再生するとびっくりしました。ぼくの解説動画でした。

クラウドの動画のアップロードの日付を見て驚きました。
2021/02/24
偶然にも5年前の今日(26年2月26日)だったからです。
そうか、思い出した。大変だったんだよなぁ、と笑みがこぼれました。
5年前、高校生のS君が「化学を教えてほしい!絶対赤点だから!」と泣きついてきました。
ぼくは最初「ぼくはね、数学の先生!化学は無理!」と断りました。しかし「化学の先生の説明、全くわからない。助けてほしい」と哀願。
うーん…
そして恨みっこなしだからね、と空いている時間に勉強し直して教えました。
するとどうでしょう。
彼は今度『先生に説明を受けてもすぐ忘れるから、主要な問題は全部動画にしてほしい』と言いました。
まじか!勘弁してよ…
でも本人は困っている…仕方ありません。
それでぼくは問題の解説動画を撮影したのです。その動画がこれなのです。
当時のぼくは『なんで本業と違うことをしているんだ…』という不満がありました。こんなことをやっても意味ないよな、と。
ぼくは5年前の自分の解説動画をぼんやり視聴しました。もう他人の解説にしか見えません。
板書はとても簡素。テロップなし。手元だけ。
その説明をじっと聞いていると、不思議な感情が芽生えました。
みかん先生、頑張ってんじゃん
無茶な要求をする教え子に「こいつ…」と思う。でもなんか彼を憎めない。
そして『今やれることをすべてやり切ろう!それで一緒に後悔すればいい!』とそんな気持ちで撮影しました。
結果、彼は試験で赤点回避。そしてこの化学解説動画はお蔵入り。あの時間は…。
でも思うのです。
このとき勉強して良かった。動画まで撮影をしたことも良かった。
それをきっかけに化学で困っている高校生に少し手助けができるようになりました。(そもそも数学で困っている高校生は、必ず「物理」「化学」でも困ります)
いや、誰の何の役に立たなくても、ぼく自身の世界が少し広がったのです。化学をより身近な存在として知りました。
改めて「勉強に無駄なんてない」と思ったのです。
「これを理解して何の役に立つのですか?」と尋ねる高校生に言ってます。
世界が広がる。これ以上に役立つものがあるかい?
それが学ぶということです。

