このページでは、小学4年生の各単元におけるみかん先生の教え方(サポートの仕方)を質問・回答形式で紹介してます。算数学習の参考としてご覧ください。
※タイトル・指導時間数・ページ・学習指導要領の指導項目については、東京書籍の「年間指導計画 略案(4年)」を参照してます。
1.大きい数のしくみ
「1億より大きい数を調べよう」
想定される学校の授業時数:約7時間/8~19,150ページ/A(1)(4)
【学習する知識】兆
Q.兆億万の大きな数が読めません
4けたごとに線を入れて読みます
数の桁が多くなると位の存在が曖昧になってしまい、数を正しく読むことも、数の大きさをつかむことも難しくなります。そこで4けたごとに色鉛筆で仕切りをいれます。数の左から4けたごとに読み、仕切りが来たら「兆」「億」「万」をよみ、続けて右の4けたを読んでいきます。
Q.「漢数字」を数であらわすことができません
「兆億万」のグループに分けます
漢数字は漢字を読んで数を想像するため、ワーキングメモリが弱いお子さんは特に困難になります。そこで以下のような手順で取り組みます。
- 万・億・兆の右側に区切りを入れます。
三兆/二千百一億/六百二十万/二千五百十七 - 区切りごとに千位までの数を表現します。このとき位が空いていれば0を入れます。
3/2101/0620/2517 - うすく引いた線(/)を消します。
3 2101 0620 2517
数を読み上げて漢数字のとおりかチェックします。
Q.240000000は1000万をいくつ集めた数かわかりません
桁をそろえて判断します
数字が多すぎて、お子さんによっては数の大きさや関係がつかみにくいことがあります。このような場合、方眼マスにそれぞれの数をかいて比べていきます。手順は以下のとおりです。
2.折れ線グラフと表
「グラフや表を使って調べよう」
想定される学校の授業時数:約9時間/20~34ページ/D(1)内取(9)(10)
【学習する知識】折れ線グラフ
Q.折れ線グラフで傾きと変化の大きさがしっくりきてません
坂の緩急で傾きを学びます
お子さんによって「傾き」という見方がしっくりこないことがあります。そういった場合、傾きを「坂」に例えて「量が少し増えると坂は緩やかになる」「量がグッと増えると坂は急になる」という身近なところから変化の割合を実感してもらいます。
3.わり算の筆算(1)
「わり算のしかたを考えよう」
想定される学校の授業時数:約11時間/36~54ページ/A(3)内取(2)
【学習する知識】和,差,積,商
Q.72÷3などの筆算で「数の位置」を間違えます
まず筆算と式の違いを確認。そして声を出して練習です。
この間違いは「式の数字のならび」と「筆算の数字のならび」は反対になっているため起こります。
そのような間違いをしないために、はじめてわり算の筆算を学ぶ段階で、式と筆算は数字の位置が反対になることを伝えます。
筆算の正しい書き方を身に付けることが大切です。
Q.筆算で「商をたてる位置」を間違えます
「1本指かくしの術」をつかいます
この間違いは多くのお子さんに見受けられます。まず、このようなつまずきを起こしそうなお子さんには、筆算の手順のなかに「ゆびかくしの術」をとり入れます。
これは、わられる数を指でかくし「割られるかどうか?」を確かめて、正しい商たての位置をきめるものです。手順はひとつ増えますが、間違いはグンと減ります。
この方法については記事(計算が不得意な子は「わり算筆算の商たて位置を決める動作」を身につけよう)で詳しく解説してます。ごらん下さい。
Q.625÷3の筆算で十の位の答0を飛ばしてしまいます
「0をたてる」を意識します
この間違いは、マス目のがないところで筆算を小さくかくと生じやすいです。
また筆算の2÷3の時点で「2の中に3はいくつあるか?」を判断して「0こ」とわかるので0をたてます。
われないときは0をたてるという基本的な判断もしっかり練習します。
4.角の大きさ
「角の大きさの表し方を調べよう」
想定される学校の授業時数:約9時間/56~73ページ/B(2)
【学習する知識】度(°)
Q.角をつくる線の長短で角度は変わると勘違いしています
分度器を使って確かめます
子どもたちによくあるつまずきです。このような場合、実際に角度はかわるのか確かめてみます。
- 短い直線で書かれた角の角度を測ります。
- 短い直線を長く伸ばします。
- 長くなった直線の角を測ります。
ここで角度の大小は「ひらき具合」であることを確認します。
Q.分度器で角度を正しく測れません
見やすい分度器に変えて、正しい測り方をみにつけます
原因は、角の概念がまだ身についていなかったり、目の動きや手の動きに問題があったりとざまざまです。
いずれにせよ、まず分度器を見やすいものに変えます。その上で求める角に色をつけたり、手順を1つ1つ分解して正しい測り方を身に付けられるように練習します。
みかん先生は「クツワ STAD 算数分度器 HP09A」をお勧めしてます。
測り方の手順は以下の通りです。
- 測りたい角を手前にして「左の直線」に分度器の中心から0°の線(青線)を重ねます。
- 青線をスライドさせて測りたい角に中心を重ねます。
- 分度器の青印の目盛を読みます。
5.小数のしくみ
「小数のしくみを調べよう」
想定される学校の授業時数:約13時間/74~91ページ/A(4)
【学習する知識】1/100の位,1/1000の位,小数第二位,小数第三位
Q.1kg325gなどを小数をつかってkgで表すことができません
単位のワクをつかって取り組みます
2つの単位を1つの単位で表すとき、お子さんによっては「なんとなく」でやってしまうことがあります。
こういった場合、単位のワクを書いて位の関係を正しくつかむようにしています。
単位のワクを正しく身につけると、その先の単位変換でつまずきません。
Q.「2.45」は0.01を何こ集めた数かわかりません
数を上下にそろえて考えてもらいます
これは数の大小の比べ方をつかって考えます。「0.01が5こで0.05となる。2.45は0.01はいくつ分にあたるのか?」を考えます。
しっくりこない場合は、小さな整数の例(45と1)からはじめて、小数へと広げていきます。
Q.小数(2.45と3.2など)の大小関係が分かりません
小数点をそろえて考えます
-小数点の位置を確認して、方眼のマスに数字を入れていきます。空いているマス(空位)には0を入れて、大きな位からみて大小を判断していきます。
★そろばん
「そろばん」
想定される学校の授業時数:約2時間/86~87ページ/A(7)
【学習する知識】
わかる程度でいいとおもいます
Q.そろばんが上手く扱えません
そろばんを初めてさわる子は、使うことどころか、その仕組みを理解することも難しかったりします。
かつてこのような道具を使って計算をしていたことが分かる程度で扱えばいいと思います。
6.わり算の筆算(2)−わる数が2けた
「わり算の筆算を考えよう」
想定される学校の授業時数:約14時間/96~113.151ページ/A(3)(4)
Q.90÷20の計算で9÷2で商をもとめて、あまりが10になる計算が身につきません
計算の工夫はつかわず、ふつうに計算します
計算の工夫で用いられるやり方です。計算手順が多くなるため、お子さんによっては身につきにくい。
時には混乱して普通の計算もできなくなります。それを考慮すると、工夫はつかわず、ふつうに計算した方がいいです。
Q.2桁のわりざん(87÷25)の筆算で、商がうまくたてられません
「2本指かくしの術」をよく紹介します
1本指かくしの術は「商の位置」を決めるものですが、この2本指かくしの術は2けた÷2けたを「1けた÷1けた」にかえて仮商を考えるためのものです。やり方は以下の通りです。
1)商を立てる位置に丸をつけます
2)右から一桁ずつ指で隠します。すると8÷2となります。この答は4です。
4)答の「4」を○の中に書き込みます
3)かけ算をします。87より100は大きいので、商を1つ小さくします。
5)商に3を立てます。
一般的なわり算と比べてすこし手順は増えます。しかし商たてのミスが減ります。
わり算の筆算はお子さんによってつまずき方が異なりますので、別な方法を紹介することもあります。
7.がい数の使い方と表し方
「およその数の使い方と表し方を調べよう」
想定される学校の授業時数:約8時間/120~132.152ページ/A(2)内取(2)
【学習する知識】がい数,四捨五入,以上,以下,未満
Q.概数が分かりません
「だいたいの数」と説明します
概数という馴染みない表現ではなく、日常生活にあふれた「だいたいの数」と説明するとわかると思います。
この質問への関連記事:日常生活から算数を学ぼう
Q.百の位までの概数とするとき、なぜ百の位を四捨五入しないのか分かりません
がい数として「見たいところ」に注目します
「百のくらいまでのがい数」の意味は「百の位までが見えるがい数」という意味です。だからそれより小さい位は全て0になります。
しかし百の位より1つ下の位(十の位)には、もう少しで百になれそうな数もあります。
そのような数を百としてみなしていいか?この判別が四捨五入です。
その考え方は、数直線や数ブロックなどでも可能です。その子に合った理解の仕方で説明します。
8.計算のきまり
「計算のやくそくを調べよう」
想定される学校の授業時数:約8時間/2~16,142~143ページ/D(2)(3)
【学習する知識】
Q.カッコのある計算がごっちゃになります
式の計算は下に展開していきます
計算の順番はわかっても、計算を進めるうちに何をどう書けばいいのか分からなくなります。
そのような場合、計算は式の下の方へ展開します。変わらないところはそのまま書いて、計算した答はすぐ下に書きます。
9.垂直,平行と四角形
「四角形の特ちょうを調べよう」
想定される学校の授業時数:約13時間/18~39,144ページ/B(1)内取(7)
【学習する知識】垂直,平行,台形,平行四辺形,ひし形,対角線
Q.垂直と直角の違いが分かりません
垂直は直線の関係で、直角は90度の角です
-とても勘違いしやすいところです。垂直は「2つの直線が直角に交わる線の関係です。直角とは、90°になっている角です。
図を使ってそれぞれが表しているところを確認します。
Q.三角定規2つで平行線をきれいに書けません
固定する三角定規の上にぶんちんを置きます
2つの三角定規を1つは固定して垂直を保ち、もう1つは移動して平行線をひきます。両方を同時に押さえて線をひくのは難しいです。
このような場合、習字でつかうぶんちんを固定したり、三角定規の上において重しにします。
そうすることで、平行線を引く三角定規のみをうまく扱えばよくなります。
Q.平行四辺形とひし形の区別がつきません
ひし形は「辺の長さが等しい平行四辺形」と紹介します
平行四辺形とひし形は似ているので、2つの区別がつかないこともあります。このような場合、まず2つとも平行四辺形であるということ。
その上で辺の長さがすべて等しい特別な平行四辺形に対して「ひし形」という名前をつけてあげた、と説明します。
10.分数
「分数をくわしく調べよう」
想定される学校の授業時数:約9時間/40~52.145ページ/A(5)
【学習する知識】真分数,仮分数,帯分数
Q.仮分数の大きさがよくつかめません
仮分数は「あふれている分数」と話します
仮分数は分母より分子が大きいです。そこでワクからはみ出している分数だと説明します。
大きさを知るために同じ量の帯分数もあわせてみていきます。
Q.1/2と2/4が同じ量にみえません
イメージで比べてみます
分母と分子の数が大きくなると、量も大きくなると考えてしまうお子さんもいます。
それぞれの量をイメージで伝えて、どちらの量が大きいか判断してもらいます。
11.変わり方調べ
「どのように変わるか調べよう」
約5時間/46~52ページ/D(2)
【学習する知識】
Q.□や○をつかって式で表すことができません
法則を学んだ上で取り組みます
4年生の変わり方調べは、式で表す前の段階の「2つの量の法則をさがすところ」からつまづきがみられます。
このような場合、法則をさがす場面と記号で式を表す場面をそれぞれわけて取り組みます。※この変わり方調べは5、6年生の比例より難しいです。
12.面積のはかり方と表し方
「広さの表し方を考えよう」
約11時間/12~29ページ/B(1) D(2)
【学習する知識】面積,cm2,m2,km2,a,ha
Q.マス目にある三角形の面積が求められません
三角形をパズルのように切って形を変えます
紙の上で「ここの部分がここに入るから」と正方形のマス上で変形した図を書くやり方が一般的ですが、これでは形がグチャグチャになりよく分からないお子さんもいます。このような場合、その三角形を切って1㎠マスに貼って確かめる方がスッキリわかります。
Q.単位(k㎡,ha,a,㎡,c㎡)がたくさんあって覚えられません
「単位のワク」をつかいながら覚えます
単位の関係(1㎡=10000㎠など全部で10パターンあります…)をすべてを覚えるのは困難です。単位の規模イメージで覚える方法もありますが、お子さんによってはそれも難しかったりします。このような場合、面積の単位ワクをつかって単位を変える練習をします。単位同士の小数点の位置さえ覚えればいいので、子どもたちに大人気です。
13.小数のかけ算とわり算
「小数のかけ算とわり算を考えよう」
想定される学校の授業時数:約15時間/54~74ページ/A(5)
【学習する知識】
Q.小数のかけ算で小数点をそろえてしまいます
たし算(ひき算)とかけ算との違いを説明します
小数のたし算ひき算では位をそろえるので、かけ算でもそうしたと考えられます。位をそろえてかけ算は可能ですが、手順が多くなるのでさけた方が賢明です。
このような場合、「たし算(ひき算)は位どうしで合わせたり引いたりするので位をそろえる必要があります。
しかしかけ算はそれぞれの位同士とかけあうものだから、スムーズにできるように数を右に寄せる」と説明します。
Q.小数のわり算で小数点を打ち忘れます
計算のはじめに小数点を打つ手順を身につけます
小数のわり算で商の小数点を打つ手順を最後にすると、小数点の打ち忘れが多く発生します。このような場合、小数をわる筆算の手順としてはじめに小数点を打ちます。
14.直方体と立方体
「箱の形の特ちょうを調べよう」
約9時間/90~102ページ/C(2)(3)
【学習する知識】直方体,立方体,平面,展開図,見取図
Q.直方体の展開図を書くことができません
底面と側面を色分けして練習します
立体の面の関係をうまくつかめないとき、展開図を正しく書くことができません。このような場合、以下のような手順で書いていきます。
- 底面をかきます
- 底面の上下左右に側面をかきます※側面の高さは等しくなります
- もう1つの底面(上面)を書き加えます