本ページは、算数が不得意な小学2年生への教え方をQ&Aで解説しています。※タイトル・指導時間数・ページ・学習指導要領の指導項目については、東京書籍の「年間指導計画 略案(2年)」を参照してます。
1.ひょうとグラフ
「わかりやすく あらわそう」
初歩的なひょうとグラフを学びます
想定される学校の授業時数:約2時間/教科書4~6ページ/D(3)
【学習する知識】ひょう,グラフ
Q.ひょうとグラフのちがいが分からない
ひょうは「数字」、グラフは「図」です
量は「ひょう」と「グラフ」という2つの方法で表現できることを説明します。ひょうとグラフを並べて、表は量を「数字」で表し、グラフは量を「たかさ」で表していることを説明します。そして色えんぴつでグラフと表を書き込みます。
2.たし算のしかたを 考えよう
はじめてたし算のひっ算を学びます
想定される学校の授業時数:約10時間/教科書8~20ページ/A(2)
【学習する知識】ひっ算
Q.2桁の筆算で数字を書く位置を誤ってしまう
右線を目印にして取り組みます
まずお子さんにとって適切な大きさの方眼のノートを用意します。その上で、右線に数字がそろって書くように促します。
Q.繰り上りの処理がうまくいかない
繰り上りの動作を分解して扱います
ワーキンメモリーの問題を抱えている子は、繰り上りの手順を身につけることが難しいです。そこで手順をひとつひとつ分解し、身につくように練習します。
3.ひき算の しかたを 考えよう
はじめてひき算のひっ算[2桁−2桁(1桁)]を学びます
想定される学校の授業時数:約10時間/教科書21~31ページ/A(2) D(1)
Q.ひき算なのに、たし算をしてしまう
声を出して筆算を書いてみます
ひき算への意識を高めるために、筆算を書きながら「53ひく24は…」と唱えるように促します。また、見直しチェック欄を設けて、たし算をしていないか?確認するように促します。
Q.「ひき算の答にひく数をたすとひかれる数になる」意味がわからない。
具体的な操作を通して学びます
「ひき算の答」「ひく数」「ひかれる数」の言葉がなにを示しているのか、それがどういうことになるのか、つかめていません。文章ではなく、具体的に例を示して意味をつかみます。
★どんな計算になるのかな?
想定される学校の授業時数:約2時間/教科書32~33ページ/A(2)
Q.「ぜんぶで」という言葉でたし算と思い込んでしまう
たし算となる理由をイメージで探ります
「ぜんぶで」とは、どこに当たるのか?イメージの中で示してもらいます。このように言葉からイメージへ導くなかで、たし算はどのような演算なのか理解が深まります。
4.長さを はかろう
長さの単位や、読み方を学びます
想定される学校の授業時数:約10時間/教科書34~46ページ/B(1)
【学習する知識】たんい,cm,㎜,直線
Q.センチとミリで計測するのが難しい
センチとミリの色が異なる定規をつかいます
センチとミリの測定で混乱する子はよくいます。まずはセンチを学びます。そして十分に慣れてきたところで、センチとミリが複合的に入った定規を使います。
Q.竹のものさしでは長さが測定できない
「赤点は5cm飛び」を理解します
竹のものさしは「数の基数性が身についていない子」にとって難しく感じます。竹のものさしは赤い点の部分が5cmとびになっています。そこで「5…10」と数えてその間の数が想像できれば、測定はできるはずです。ただ、どうしても難しい様でしたら無理にさせる必要はありません。
5.100より 大きい 数を しらべよう
3けたの数や不等号などを学びます
想定される学校の授業時数:約13時間/教科書48~63ページ/A(1)(2)
【学習する知識】百のくらい,千,>,<
Q.100が3つ、10が2つ、1が4つで「100310114」となる。
教具を使って言葉の意味を正しく表現します
Q.漢数字(例:八百五)から数字を書くことができない
代読やしきりを使って学びます
つまずきの原因が「字の読み困難」であれば、代読してチェックします。漢字の百・十の右にしきりを入れて、位枠を使って表せるように心がけます。
6.水の かさを はかって あらわそう
単元名「水のかさのたんい」
体積を測る単位L・d Lを学びます。
想定される学校の授業時数:約8時間/教科書68~77ページ/C(1)
【学習する知識】dL,L,mL
Q.L・d L・mLの単位を変えることができません
まずLとdLを身につけましょう
この単元は一気に3つの単位が出てきて混乱します。まずはLとdLの関係を単位でマスターできればいいでしょう。それが身につきましたら、今度はLとmLの関係をつかみます。
Q.「2L4dL+3L2dL」などの計算ができない
それぞれの単位に色をぬります
単位が2つ以上ならぶと、どうしても見にくくなります。そこでLとdLの単位部分をそれぞれs単位の種類ごとに色をつけます。
またできればLとdLの量イメージを補足してあげると、さらにいいと思います。
7.時計を 生活に 生かそう
単元名「時こくと時間」
24時制や午前午後、時間について学びます
想定される学校の授業時数:約2時間/教科書79~83ページ/C(2)
【学習する知識】時こく,時間
Q.1時間後や1時間前が反対になる
時計の針からみた前後で捉えてます
針が動いている方向と考えれば、未来は針の「前」にあり、過去は針の「後ろ」になります。それが時間の前後で間違える理由です。
これは日常的な場面で分前・分後をつかってその感覚を身につけた後に時計の問題としてやる方が学習がスムーズに進みます。
Q.午前と午後を含めて時間への認識が弱い
時期をみて学び直します
2年生の段階で「午前・午後」の認識がまだピンとこない子がいます。12時を堺に「午前→午後」になることを理解してもらえればまずはいいと思います。
徐々に「午前・午後」「12時制・24時間制」と段階をへて学んでいければいいと思います。
8.計算の しかたを くふうしよう
単元名「計算のくふう」
カッコをつかった計算や暗算を学びます
想定される学校の授業時数:約5時間/教科書85~89ページ/A(2),内取(2)(3)
Q.カッコを使った計算がうまくできない
かっこの部分に色をぬります
かっこのある計算は最初にしっかりと手順を身につけてほしいです。
計算過程は必ず下に書いていきます。そして先に計算すべくかっこの部分を色で主ます。計算を行った部分だけ答えとして書き換える習慣を身につけていきます。
9.ひっ算の しかたを 考えよう
単元名「たし算とひき算のひっ算」
3桁のたし算・ひき算を学びます
想定される学校の授業時数:約時間/教科書~ページ/A(2)内取(3)
Q.くり上りのたし算がうまくできない
手順をこまかく分解して対応します
くり上りの処理ができない背景には「運動機能」「ワーキングメモリ」「空間認知」などさまざまです。
手順をひとつひとつ分解してみて、つまずいているところを特定しながら適切に対応していきます。
Q.2桁+1桁の筆算で、数字を書く場所を間違える
「みぎそろえ」を促します
2桁以上の数は左から先に書きます。246であれば2→4→6の順です。このクセが桁を揃えるときにもそうしてしまいます。
このようなミスが見られたときには、筆算の右に縦の線をひいて「この線にタッチしよう」と促します。
10.さんかくや しかくの 形を しらべよう
単元名「長方形と正方形」
四角形の名称や性質・かき方を学びます。
想定される学校の授業時数:約10時間/教科書104~116ページ/B(1),内取(5)
Q.沢山の用語が出てきて覚えられない
グループとして覚えてもらいます
まず「形の部分」と「形の種類」に分けて覚えます。
形の部分は「へん・ちょう点・角」です。いろんな形をしめしてそれぞれのへん・ちょう点・角を確認します。
「形の種類」は、角が3つ(三角形)に角が4つ(四角形)に分けられます。
また、三角形のグループのなかに「直角三角形」があり、四角形のグループの中に「長方形・正方形」があります。それぞれの特徴に目を向けて仲間わけができればいいと思います。
Q.直角かどうか分からない
直角シールで角をあててみます
まだ小学低学年のうちは、角の存在はわかりますが角の大きさの概念が曖昧です。それで直角とそうでない角の違いが捉えられません。
直角を確かめるためには、三角定規の直角部分に直角シールをはって測る角に当ててみるといいでしょう。
11.新しい 計算を 考えよう
単元名「かけ算(1)」
かけ算の意味や倍、2〜5の段を学びます。
想定される学校の授業時数:約22時間/教科書2~24ページ/
Q.かけ算の意味が分からない
同じ数のグループ作りからはじめます
かけ算はたし算・ひき算とは異なり、かけられる数(かけ算の左の数)とかける数(かけ算の右の数)がそれぞれ表す数の意味が異なります。
それを認識するために、まず絵などをみて同じ数の仲間わけをします。
その上で、全体の数は「1つのグループの中の数」と「グループの数」をかけることで求めることができることを教えます。
12.九九を つくろう
単元名「かけ算(2)」
6〜9の段、九九、かけ算の性質を学びます。
想定される学校の授業時数:約17時間/教科書29~50ページ/A(1)(3),内取(4)
Q.九九が正しく覚えられない
慌てずにじっくり復唱します
原因のほとんどは九九を慌てて覚えようとしたせいです。音の定着が曖昧なままであれば、段数が増えると似た音(7×3=しち・さんと4×3=し・さん)が出てきて混乱し崩壊するケースが多いです。
1日1つの段でいいので、ゆっくり復唱します。急かしてはいけません。
6・7・8の段は特に音が似ているため、間違えて覚えやすい。九九の単元が終わっても、定期的に復唱をするように心がけます。
Q.2ばい、3ばいの意味が分からない
「2ばいは2つ分」と作業をとおして学びます
一部の子にとって倍の理解はなかなか難しいです。言葉でかけ算と同じと説明してもわかりません。
そこで赤テープの2ばいと出たら、赤テープをふたつ分といいかえる練習をします。その上で、線分をかいたり、絵を描いたりして身につけるようにします。
2年生の学習の中でとても大切な部分なので慎重にあつかいます。
13.1000より 大きい 数を しらべよう
単元名「4けたの数」
1万までの数の大きさや構成を学びます。
想定される学校の授業時数:約11時間/教科書52~65ページ/A(1)(2),内取(1)
Q.100が10こで1000の意味が分からない
お金で考えます。
一部のお子さんはおはじきやドットで十進法として数量をとらえることが難しい場合もあります。
そのときは数量によって形が変わるお金をつかって学びます。
100円が10枚で千円札になる。千円札が10枚で一万円札になる。これだと視覚的にもわかりやすいです。
Q.9000と8990の大小を比べる問題で間違えます。
指かくしで大きい桁同士で比べます
十進法がまだ身につけていないお子さんによくある躓きです。9000と8990であれば、9000は0が3つもあります。8990は8だけでなく9が2つあるので、8990が大きいと判断するのです。
「左の位の数字が大きいほど、数は大きい」ことを説明します。そしてイメージとして説明します。
その上で右の数が見えると邪魔なので、右の位の数は指で隠して判断するように促します。
14.長い 長さを はかって あらわそう
単元名「長いものの 長さのたんい」
メートルといった大きな長さの単位を学びます。
想定される学校の授業時数:約6時間/教科書66~73ページ/C(1)
Q.メートルとセンチメートルの違いが分からない
1mと1cmは長さちがう体験から
1mと1cmは長さちがうことを体験から学んでもらいます
数量の把握が苦手なお子さんは「1mは100cm」と説明してもピンときてないことが多いです。
まず1cmの長さは筆箱に入る定規でわかります。しかし1mは手を大きく広げた長さです。
1mmは「線のはば」
1cmは「人差し指のはば」
1mは「手を広げたはば」
長さの3つの単位をはっきり認識することが大切です。
Q.単位の変換ができない
単位ボックスをつかいます
1m=100cmという単位の認識ができてれいば、数を分解することで理解できます。ただ十進法の把握が難しいお子さんの場合、まずは単位ボックスをつかって確実にできるように配慮します。
単位の変換は4年生から5年生にかけて、小数点の存在が認識できてから集中的に扱います。
15.図を つかって 考えよう
単元名「たし算とひき算」
文章を図をつかって解きます。
想定される学校の授業時数:約5時間/教科書74~81ページ/A(2),内取(2)
Q.文章題を線分図でつかめない
具体的なイメージでとらえます
線分図は数量の関係を理解し、式を立てるのに有効です。ただ低学年の子にはあまりに抽象的すぎて、何がなんだか分からないことが多いです。なんで線になるの?と不思議がります。
そのためイメージを補足します。後から8人きたのであれば、8人の絵を描きます。できるだけ線分図のモデルと同じ構成で書きます。イメージが不要になったところで、線分図へと移ります。
16.分けた 大きさの あらわし方を しらべよう
単元名「分数」
具体物をつかって分数を学びます。
想定される学校の授業時数:約5時間/教科書82~90ページ/A(1)
Q.3分の1を書くとき、3/1と逆にかく
分子と分母をおしえると納得できます
日本語は文を書くとき、上から下へ書きます。そのクセが3分の1と数字が出てきた順に分数の上から、下へと書いてしまうのです。
ひとつひとつ練習をすれば、下から上へと書けるようになります。
ただしっかり納得したい場合(この時期に分母・分子を習っていませんが)それらの存在を教えるのも手です。ケーキを分けるのは母で、とるのは子ども。子どもを高い高いとするのは、母だから分母は下で分子は上。数にイメージがつけば身につきやすいです。
17.はこの 形を しらべよう
単元名「はこの形」
立体の頂点や辺など構成要素を学びます。
想定される学校の授業時数:約5時間/教科書92~97ページ/B(1)
Q.面・辺・頂点のちがいが分からない
「平ら・真っ直ぐ・尖ってる」でつかみます
立体は平面と異なり名称をつかみにくい場合もあります。そのようなお子さんは、立体そのものの感触で名前をつかんでいく方がいいでしょう。
面は「平らでツルツル」
辺は「ツルツルの間にある」
頂点は「とがった山」
立体に色シールをはって数を確かめるといいと思います。