「小学5年生の算数」の教え方の例

偶数と奇数の区別がつかない…混みぐあいってなに?といった算数でみうけられる5年生の「算数の分からない」主な教え方を書いてみました。

このページの目次

「3.75を10倍, 100倍すると小数点が右に1つ2つ動くことの意味が分からない。」

“小数点が動く現象”は子どもたちから誤解をうけやすいところです。まずこのような確認をします。

  1. 筆算を使って3.75を10倍,100倍の答を求めて、全ての位の数が奇麗に繰り上っていることを確認する。
  2. 10倍,100倍の数を数字で縦に揃える。
    3.7 5
    3 7.5  (10倍)
    3 7 5. (100倍)
  3. 答の数字の並びでみると、位が右にずれて小数点の位置の違いでしかないことを確認する。(10倍,100倍の“0”の数だけ小数点が右にずれることも伝えます)

このあとに0.375や3750といった数を、10倍,100倍,1000倍する練習を積めばより一層理解が深まります。

「25.7を1/10,1/100するという意味がよく分からない。」

小数の世界に1/10や1/100という分数表示が入ってくると、子どもたちは急に難しく感じます。イメージで説明できますが、話が割合分数の装いになりすこし理解が難しい子もいます。「1/10する」は「10でわった数」と言い替えて説明した方がいいでしょう。

「体積は、長さや面積とどのように違うのかわからない。」

上から見たら、縦横が同じ長さで、同じ面積の2つのカステラがある。でも横から見れば、厚さが全く違う。どちらがお腹いっぱいになる?と話すと、子どもから「厚いカステラ」と回答するでしょう。このときの判断はカステラの長さや面積より大きさに注目したことを確認します。このような「物の大きさを表すものが体積」と説明すると体感できるでしょう。

「縦1m,横10cm,高さ40cmという長さの単位が異なる体積を求めるとき、単位を変換する意味がつかめない。」

体積を求めるときの大前提に遡ることで、意味をつかむことができるでしょう。

  1. まず、子どもに縦5cm・横6cm・高さ8cmの体積を求めてもらいます。
  2. 体積は1c㎥ブロックが縦5つ・横6つ・高さ8つあるから、5×6×8という計算で体積が求められることを確認します。
  3. 次に縦1m,横10cm,高さ40cmの立体を見せて、それぞれに1c㎥ブロックが縦・横・高さにいくつあるか考えてもらいます。このとき、1mの部分に1c㎥ブロックが何個あるのか?ゆっくり考えさせるといいでしょう。

「ものの変わり方の比例が分からない。」

まず「ものの変わり方の単元は、2種類の量がどのように変わっているかを学ぶ単元なんだよ、と単元の大枠をを伝えます。そのうえで2つの量を色で分けて表に示します。
 Aの量 1  3  6 
 Bの量 3  9  18 
その2種類の量が、一方を3倍したら、もう一方の同じところも3倍されている。2倍されていたら、もう一方の同じところも2倍されてている。
 Aの量 1-(3倍)→3-(2倍)→6 
 Bの量 3-(3倍)→9-(2倍)→18 
それをしっかりと捉えた上で、
「このような上下に同じようにかけた数があるような2つの量の関係を“比例”といいます。」と説明します。
いろんな2量の変化の表をつかって、比例なものを判断するといいでしょう。

「記号をつかって比例の式をたてることができない。」

とても躓きが多いところです。まずは対応しているそれぞれの量を強く意識させることが大切です。

  1. 一方の量を“□”、もう一方の量を“●”といった2つの量の代表のマークを書きこみます。
    □ Aの量 1 2 3  4
    ■ Bの量 3 6 9 12
  2. 対応する量を矢印で結び、そこに隠れている共通するかけ算(×3)を見つける。
    □ Aの量 1 2 3  4
    ↓ ↓ ↓  ↓×3
    ■ Bの量 3 6 9 12
  3. 共通するかけ算(×3)を代表のマーク(□と■)の部分にも示す。
    □ Aの量 1 2 3  4
    ×3    ↓ ↓ ↓  ↓×3
    ■ Bの量 3 6 9 12
  4. 代表のマークを使って、式をつくります。
    □×3=■
  5. 式を逆転させて書き直します。
    ■=3×□

これで代表のマークを使った式ができました。ここは段階を踏まえて慎重に扱うことが大切です。

「複雑な立体の体積を求めることができない。」

複雑な立体の体積を求められない子は「特別な公式があるのでは?」と考えること多いです。知っていることを踏まえて、工夫するように促すことが大切です。

  1. “量の保存”が身についているかを確認します。
    【量の保存の問題】
    体積100㎤の粘土Aと230㎤の粘土Bを合わせると、粘土は何㎤になるのだろうか?
    体積300㎤の粘土から130㎤をとると、残りの粘土は何㎤になるのだろうか?
  2. 直方体の体積なら求められることを確認します。
  3. 複雑な立体を、体積が求められる直方体に変えることができないか?問いかけます。
  4. 複雑な体積は「部分の直方体を足す」「大きな直方体から部分の直方体を引く」の2つ方法があることを確認します。

改めて量の保存の問題をふり返り、量の保存がこの理由となっていることを触れるといいでしょう。

「1mの重さが180gのホースがあり、そのホース1.6mの重さを求めるときにたし算とか、かけ算をする。」

たし算とかけ算の意味的な理解が不十分か、具体的なイメージが欠けている可能性があります。以下のように教えます。

  1. 文章を切って読み、2本のホースが登場していることをイメージ図で確認します。
  2. 2本のホースは、1mの長さ(180g)と1.6mの長さ(?g)であることを整理します。
    180g    ?g
    1mの長さ 1.6mの長さ
  3. 問題は何を尋ねているのかを問い考えます。1.6mのホースの重さ。
  4. 求めるべき箇所はかけ算エリアであることを確認します。
    180g -×1.6→?g
    1mの長さ 1.6mの長さ

たし算・ひき算とかけ算・わり算の意味的な違いは、改めて復習した方がいいでしょう。

「”1m80円のリボンがありこのリボンの0.8mの代金はいくらか”といったかける数が1より小さくなると求め方が分からない。」

これも状況を整理して、求めたい箇所がかけ算エリアであることを確認します。
80円 -×0.8→?円
1mの長さ 0.8mの長さ
学習した小数のかけ算は「1あたりよりも小さなものの全体量も求められる」ことをしっかり捉えます。

「計算の工夫で15.3×4といった計算を( 15+0.3 ) × 4とする理由が分からない。」

計算の工夫4つの中の1つです。計算を工夫するからには“計算が楽になる”というメリットがあるべきなのですが、この計算の工夫にはそのメリットを感じにくく、そのため子どもたちは身につけにくい手続きです。
“一方の数をたし算分解しても計算ができる”という枠組みから計算の工夫を学び、そのなかで「計算が楽になるものもある」と捉えなおすべきでしょう。もちろん、この15.3×4は“楽になりそうにない計算”となります。

「小数÷小数の計算で、答の小数点が移動する意味がわからない。」

“小数点が移動する”のではありません。“答の位がずれ込んでしまう”ために小数点の位置が移動したように見えるだけです。答がずれ込む理由については省略します。

「小数÷小数の余りがある計算で、余りの小数点を商の小数点の位置にしてしまうミスが続く。」

“小数点が移動する”で捉えてしまうと、わられる数の小数点が動くように感じてしまいこの誤りが発生します。小数点は移動するのではなく、答の小数の位置がずれ込んでいると捉えなおすといいでしょう。もちろん、わられる数の小数点はそのままにあります。そうすると、わられる数の小数点の位置とあまりの小数点の位置はすんなりと決まるはずです。

「合同の意味がわからない。」

合わせると同じ形=全く同じ図形同士と捉えるといいでしょう。全く同じ図形なわけですから、長さや角度なども対応するものと同じ。当然ともいえることですが、意識的にしっかり扱うようにします。

「偶数と奇数の区別がつかない。」

2で割りきれる数が偶数、割り切れない数が奇数と捉えることが多いですが、それだと2で割らない限り判別が付かない…と考える子もいます。そこで「偶数は2で割り切れる数。2で割り切れる数は一の位が0・2・4・6・8となっている。だから偶数の判別は一の位が0・2・4・6・8かをチェックすれば分かる。」と具体的に判断箇所を教えるといいでしょう。

「倍数がわからない。」

“倍数とは、倍したあとの数”と捉えてもらうといいです。この“あと”がポイントです。
このとき1からしっかり倍することに注意を促して下さい。

「約数がわからない。」

まず、約数の“約”という漢字には「まとめて束ねる」という意味があることを伝えます。
その上で“約数とは、まとめて束ねることができる数”と説明します。具体的に12の数をまとめて束ねられる数を挙げます。
「2だったら6束。3だったら4束。
そして…1で束ねると12。12で束ねると1。」
この束ねる数は“かけて12になる組み合わせ”であることの発見を促し、いろんなパターンの約数を練習するといいと思います。

「平均の意味が把握できない。」

同じ種類の数量を“平らに均らしたときの数”と説明します。
導入ではグラフ等を使って、実際に数量を平らにして平均を求める作業をふんだほうが、後の平均の計算についても理解が深まります。

「混みぐあいが分からない。」

子どもに実際に「混んでいる時」と「空いているとき」の違いをイメージしてもらいます。

  1. 3人が3㎡にいるときと、3人が6㎡にいる時を見比べます。
    □□□  □ □ □ 

  2. 人と人の間が空いているということは、1人分に割り当てられる面積が多いということになる。
  3. 1人分の面積を計算で求めて、それで混みぐあいを判断します。

混みぐあいの判断は「面積が少ない→混んでいる」「面積が多い→空いている」となりますが、この判断時は急かさずにじっくり噛み締めるように扱った方がいいです。

「収穫の問題や、人口密度などといった単位あたりの大きさがゴチャゴチャになる。」

まず苦手な子には「これまで馴染んできた1あたりの量を、ちょっと応用して収穫や混みぐあいなどを考える話です」と大枠を伝えましょう。これだけで収穫や人口密度といった馴染みない世界を、必要以上に難しく考えずに済みます。
またそれまで1あたりの量で用いた図を使います。ただし収穫度は「1面積あたりの作物の重さ」や、人口密度は「1㎢あたりの人の混みぐあい」といった補足追記を図に示してあげます。そうすることで、複雑な用語への混乱なども大幅に軽減されるはずです。

「4÷3=4/3になる意味が分からない。」

4つカステラを3人で分けるとき、1つのカステラを3つに切り、それを3人に分けていきます。するとカステラ1つから得られる1人分は1/3。それが4つあるので1/3×4=4/3。1人分は4/3となります。

「5/2などの分数を小数に変える方法が思い浮かばない。」

5÷2の式から分数の答5/2が得られます。この5÷2の式から小数の答2.5も得られます。
ですから分数→求める式→小数という流れを捉えることができればいいと思います。

「約分がうまくできない。」

稀に約分の手続きで躓く子はいます。指導で注意すべきことは3つです。

  1. 分母と分子をきれいに割り切れる数をさがす。
    [2・3・5・7・11・13…]と探してく。
  2. 割れる数で割った答を、分子は上、分母は下に書きこむ。
  3. さらに割れないか?を考えて→1へ
  4. 分母分子を割れる数が見つからないなら終了。

慣れてきたら2・3・5・11で割りきれる数の判断のコツを教えるといいでしょう。

「約分をしなければならない理由が分からない。」

理由は2つあります。
1つめは、1/3と同じものは2/6,3/9だけでなく 200/600 や 3000/9000など無限にあります。大きな数になると数量の大きさが想像しにくいからです。
2つめは、分数のテストで答は1/3と同じだからとある児童は2/6と書き、またある児童は125/375と書くと採点する先生は大変です。このような2点から、約分は算数のエチケットとして必要なのです。

「どうして通分が必要なのか分からない。」

通分はどんな場面で?どうして必要なのか?それを理解することが通分の身につける第一歩です。

通分が使われる2場面

  • 分母が異なる分数を大きさを比べる。
  • 分母が異なるたし算やひき算をする。

通分が必要な理由

  • 分母が異なっているために、分数の大きさが判断しにくい。
  • 分母が異なっているために、たし算・ひき算ができない。

分母が異なっているため判断や計算ができないから、それぞれの分数の大きさを変えずに分数の形をかえよう!それが通分です。

「平行四辺形の面積(底辺×高さ)で高さを横の辺にしてしまう。」

長方形の面積を求める公式が縦辺×横辺なので、そこから誘発される間違いです。子どもたちにとても多い間違いです。平行四辺形に限らず、面積を求めるときのかけ算の関係にある長さ同士は、必ず垂直になっています。
それを踏まえて公式を理解できると、このようなミスは事前に防ぐことができます。

「三角形の面積を求めるとき、高さを横の辺にしてしまう。」

これも平行四辺形の記述の繰り返しですが、面積を求めるときのかけ算の関係にある長さ同士は、必ず垂直になっています。それを理解するだけでミスが減りますが、三角形の場合はそれに加えて面積を求める時の型を理解すると具体的で子どもも分かりやすいです。

三角形の3つのパターン

  • お山型(高さが底辺と交わる)
  • 直角型(高さが底辺の端で交わる)
  • 鈍角型(高さが底辺と交わらない)

もっとも難しいのは鈍角型です。ただ共通して底辺と高さは垂直になっています。底辺と高さを色分けしてイメージで関係をつかむことも大切です。

「台形の公式の意味がわからない。」

台形の公式は闇雲に覚えさせることが多く、それが逆に台形の難しさを引き立てています。必ず“三角形に分割して面積を求めるのを、簡単にまとめて公式にしただけ”ということをつかむようにしましょう。

上底3cm,下底5cm,高さ4cmの台形の求める場合

  1. 三角形に分割して面積を求める式を書きます。
    3cm×4cm÷2+5cm×4cm÷2
  2. 計算のが同じ部分を着色します。
    3cm×4cm÷2+5cm×4cm÷2
  3. 計算の工夫をつかってまとめます。
    ( 3cm+5cm )×4cm÷2
  4. 公式にしてみる
    (上底+下底 )×高さ÷2

上底と下底をたして底辺と見てしまえば、あとは三角形の公式と同じです。そんな別な角度からこの公式を見れば、覚えやすくなります。

「ひし形の面積はなぜ「対角線×対角線÷2」の公式で求められるのか分からない。」

対角線がひかれたひし形には合同(全く同じ形)な4つの直角三角形があります。この直角三角形を組み替えると長方形ができます。この長方形とひし形は、形は違いますが面積同じです。
だからひし形の面積として長方形の面積を求めると、その式は「一方の対角線×もう一方の対角線の半分」となります。このもう一方の対角線の半分が「もう一方の対角線÷2」となって公式【対角線×対角線÷2】となりました。

「割合の必要性が理解できない。」

まず数と数を比べかたとして「差で比べる」「倍で比べる」の2つがあることを具体例をあげて説明します。

ア)100円と300円の差は200円
イ)11100円と10900円の差は200円

ア・イともに200円の差にすぎませんが、アに比べてイの方はさほど大きな違いには感じにくいです。(1万円もっていたら200円なんて小さなお金に見える気がする…)

違いの部分を表現する差では、それぞれの量の大きさの具合を測ることができません。「その大きさの具合を示すために割合はある」これをつかませることが大切です。

「割合を求める式(比べる数÷元にする数)の意味が分からない。」

比べる量のなかに、元にする量はいくつとることができるのか?それが元にする量に対する比べる量の割合だからです。

「円周率3.14とは何なのかが分からない。」

直径を1とおいたときの円周部分の倍率です。どのような円でも直径に対して、円周は約3.14倍になっています。
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