「小学4年生の算数」の教え方の例

本ページは、算数が不得意な小学4年生が躓きやすい項目(東京書籍)について、みかん先生の主な対応方法を解説しています。
なお、タイトル・指導時間数・ページ・学習指導要領の指導項目については、東京書籍の「年間指導計画 略案(4年)」を参照してます。

1.グラフや表を使って調べよう

折れ線グラフと表について学びます
想定される学校の授業時数:約9時間/6~18ページ/D(1)(4)
【学習する知識】折れ線グラフ

Q.折れ線グラフの傾きと変化の度合いがピンときていない

“量が急にふえると、坂は急になる”と喩えます

「傾き」という見方がまだしっくりきてないと思われます。そこでその傾きの性質を含む「坂」イメージを使って「坂は緩やかになる」「坂は急になる」などと説明します。

2.角の大きさの表し方を考えよう

角度を学び、測ったり、作ったりします。
想定される学校の授業時数:約10時間/20~37ページ/B(2)
【学習する知識】度(°)

Q.角をつくる線の長短で角度は変わると勘違いしている

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本当に角度は変わるか確かめてみます。

百聞は一見にしかずです。

  1. 短い直線で書かれた角の角度を測ります。
  2. 短い直線を長く伸ばします。
  3. 長くなった直線の角を測ります。

もちろん、角度は変わりません。ここで角度を決める「ひらき具合」は変わってないことを確認します。「角の大きさは直線の長さに影響されない」と分かります。

Q.分度器で角度を正しく測れない。

手・目の動きをみて対応します。

子どもにとって分度器は扱いにくい計器です。手の動き、目の動き、問題があことが多いので、よく観察したのちに対応します。

「手の動き」に問題があるときは、①動作の手順化②同時に参考動作などを行ないます。

「目の動き」に問題があるときは、「クツワ STAD 算数分度器 HP09A」をお勧めして以下の手順で取組みます。

  1. 測りたい角を手前にして「左の直線」に分度器の中心から0°の線(青線)を重ねます。
  2. 青線をスライドさせて測りたい角に中心を重ねます。
  3. 分度器の青印の目盛を読みます。

 

3.わり算のしかたをかんがえよう

わる数が1けたのわり算の筆算を学びます。
想定される学校の授業時数:約17時間/38~58ページ/A(3)
【学習する知識】和,差,積,商

 

Q.72÷3を筆算にするとき数字の位置を誤ってしまう。

筆算の手続きを声に出して練習します

この誤りは、わり算の式ではわる数が右側にありますが、筆算ではわる数が左側に位置します。

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手順を声に出しながら取組みます。
  1. 「72」と唱えながら、わられる数をかきます。image_04_061.jpg
  2. 筆算の線を「わ!」「る!」と動作と同時にかきますimage_04_062.jpg
  3. 「3」と唱えながら、わる数をかきます。image_04_063.jpg
    紙に書くだけでなく空書(空中で動作)をすると効果的です。

Q.72÷3の筆算で、10の位の数は割れるのにそれに気づかない。」

「指かくしの術」をつかいます

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割られる数を指でかくし、指を右にスライドさせながら「割られるかどうか?」を確かめます。作業はひとつ増えますが、間違いは減ります。3桁のわり算(639÷3)の躓きもこの方法で回避できます。

この方法については記事(計算が不得意な子は「わり算筆算の商たて位置を決める動作」を身につけよう)で詳しく解説していますのでごらん下さい。

Q.625÷3の筆算で十の位の答0を飛ばしてしまう

「マス目に合わせる・0をたてる」を学びます。

マス目のがないところに筆算をかくと生じやすいミスです。「筆算を丁寧に書く」ことが難しければ、マス目に計算するように促します。

また、2÷3の時点で「2の中に3はいくつあるか?」と判断して「0こ」と分かるので0をたてるという方法もあります。その子の躓きをみて対応します。

4.四角形を調べよう

垂直・平行と四角形について学びます。
想定される学校の授業時数:約16時間/60~83ページ/C(1)
【学習する知識】垂直,平行,台形,平行四辺形,ひし形,対角線

 

Q.垂直と直角の違いが分からない。

垂直は線のようす、直角は角のようすをつかんでもらいます。

  • 垂直とは、2つの直線が直角に交わる線のようす。
  • 直角とは、90°である角。

垂直は「2つの線のようす」で、直角は「角のようす」です。

Q.三角定規2本で平行線を上手に書けない。

ズレた時のために直線をひいて対応します

「固定する定規」と「移動して線を引く定規」の二本がありますが、この両方を同時に押さえて線をひくのは難しいです。これについて2つほど提案しています。

  1. 固定する定規がズレたときのために、予め固定位置を示す線を引いておく。
  2. 固定する定規がズレないように辞書などの重しをのせる。

現実的には1.のほうがいいと思います。

Q.台形や平行四辺形などの区別がつかない。

平行な辺の「組」の数を数えます

向かい合っている辺どうしが、平行であれば色えんぴつ等で辺をつなぎます。

  • 平行な辺の1組→台形
  • 平行な辺が2組→平行四辺形
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組の数は色の数になるところも、お子さんによっては躓きやすいところなので気をつけて対応しています。

Q.ひし形と平行四辺形の区別がつかない。

平行四辺形の特別な形が「ひし形」です

どちらも平行四辺形です。平行四辺形の中でもすべての辺の長さが等しいものが「ひし形」です。

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平行四辺形というクラスに、特別な「ひし形くん」がいると話すとよく分かると思います。

★考える力をのばそう

図をつかって2量の差に着目して考える問題を学びます。
想定される学校の授業時数:約1時間/84~85ページ/D(2)

★そろばん

そろばんについて学びます。
想定される学校の授業時数:約2時間/86~87ページ/A(7)

●大きい数や小数の珠の入れ方
●そろばんによる簡単な小数の加減計算

Q.そろばんが上手く扱えない。

分かる程度でいいと思ってます

算盤を扱うことが初めての子は、上手く使うこともその仕組みの理解も難しいです。かつてそのような道具を使って計算をしていたと分かればいい程度に認識しています。